第27話邂逅、そして会敵の朝✗27
一度始めてしまえば、後は野となれ山となれ、だ。
賽は投げられた、というより投げてしまえばもうどうとでもなれの心境だ。
それが功を奏したのかは分からない。
だが今回の各部位における確認事項と点検項目においても、特に問題や支障が発生するようなことはなかった。
私はいつも通り電子ペーパーの『異常なし』の欄にのみ、順調にチェックを記入していく。
そうして、作業そのものは滞りなく進行していった。
私だってやれば出来る子なのだ。
案ずるより産むが易しとは、本当によくいったものだ。
先人の言葉とは、げに含蓄の値するものである。
何故なら、私は
そしてあれこれ思案するより、
そう、こうなってしまえば最早解釈はただひとつ。
故に、そこから導きだされる答えはもひとつだけ。
天からの啓示に等しい核心にして確信を、私はこのとき手に入れた。
それは・・・・・・・・・、まさしく・・・・・・・・・。
アーサに私の子供を産んでもらおうということに他ならない!
これはもう間違いなくそうに違いない!
付け加えるならその逆、私がアーサの子供を産むのも勿論可!
却ってそれも望むところであり、臨むところだ。
ああ、果たしてどっちにしようかなぁ。
どちらにしたほうが、
それにしれもアーサと私の子供、か。
ふふ、きっといい子に育つのだろうな。
いや、きっと産まれたときからいい子なのは確定しているか。
そこには、私の要素は何ひとつ必要あってはならないのだから。
私に由来するものなど、ひとつとして受け継がれてはいけないのだから。
だって私には、ひとに与えられるものなんて何もないのだから。
ただ私は種か器としての役割を、十全にこなせればそれでいいのだ。
そうすればアーサ譲りの元気のよさと快活さ。
そして純真さと、何よりひとを信じる心を併せ持ったまさに天使のような子供が産まれることだろう。
それこそ目に入れても痛くない、可愛らしい子に決まっている。
寧ろずっと目のなかにしまっておいて、私だけがその愛らしい姿を愛でられるようにしたい所存。
本当に、先人の遺した言葉には頷かされるばかりだ。
アーサと私、ふたりでの子育てという名の共同作業。
命を守るための戦士としての重大な使命ではなく、命を慈しみ育むための人間としての大切な営み。
ああ、いまから待ち遠しいなぁ
想像するだけで楽しみだなぁ。
まあ、まだそんな結果となってそのような成果を得られるようなことは何も出来ていないのだが。
だがしかし、倫理と道徳と生産性を無視すれば、現代の科学技術は大抵の願いを
そんな夢のような
そうして私はバレたら切腹ものの思考に脳のリソースを割きながら、自らに与えられた任をこなしていたのだった。
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