『消えたゴールデンウィーク』

『消えたゴールデンウィーク』

ろくろ首のお姉さん

　『世間では、ゴールデンウィークとか申すものが、消えた、と、噂されておりますような。』

小豆洗いの叔父様

　『うむ。確かに、聞いたぞ。』

のっぺらぼうのお兄様

　『ゴールデンウィーク、とは、そも、なんぞや？』

ろくろくびのお姉さんの、妹さん

　『おや、あなたがた、みな、ご存じないのかえ？　ゴールデンウィークといいますものは、にんげんたちが、お互い様の泣き所を探して、国中集団移動する、まあ、儀式さね。巡礼とか、墓参りとか。』

　小豆洗いの叔父様

　『なんと！　儀式か。それが、消えたとは、妖怪変化の仕業か？』

　かさのお化けさん

　『その言い方は、引っ掛かる。』

　ぬれ雑巾のおばさん

　『うん。そうだ。が、ならば、妖怪変化ではなく、幽霊どもの、仕業ではないか？』

　ぬらりひょんのおじいさま

　『どうやら、人間界に、異変がおこっておる。消えたゴールデンウィークとやらを、われらで探しだし、儀式をさせてやろう。』

やましんさん

　『あの連中、なに？』

ねこママ

　『お化け連絡協議会の、幹部たちにゃ。略して、《おばれん》とかいうにゃんこ。』

やましんさん

　『はあ、じわじわと悩んでいるやましんには、なんだか、しゃくにさわるなあ。40年も前の、《身勝手失恋事件》、が、いまになって、自分の哀れさと相まって、精神をむしばんでいる。それは、ぼくには、ついに、時が来たのだ、と、思わせる。ねえ、ママ、ゴールデンウィークは、成功者の儀式だよ。(個人的見解です。)命懸けの。破れ去った者には、あまり、縁はない。』

　ねこママ

　『よく言うにゃんこ。その雑誌、なに、にゃんこ？』

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　《おうちで楽しむ、ゴールデンウィーク》

　〰️〰️〰️とっときの、秘密ルート案内書。

やましん

　『ただの、雑誌だよ。見るだけさ。』

ねこママ

　『あ、やましんさん、写真、落ちた。だれ。この、かわいいひと。奥さんの若い頃にゃんこ？』

やましんさん

　『あらあ。ノーコメント。やれやれ、落ちない、話だなあ。この雑誌、おばれんさんたちに、プレゼントね。ゴールデンウィークは、ここにあり、さ。やな、季節だよ。やな、思い出ばかりだ。写真は、だから、非売品。』　

ねこママ

　『にゃ？』

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