鈍色
この数日、どんな景色を見たんだったかなと考えても、窓から覗いた太陽の隠れた空くらいしか探し出せない。
今日も窓を開けると、水分を摂りすぎた風がたぷんたぷんと気だるそうに、微かな潮の匂いを届けてくれたのだけれど、あいにく今は何も言葉にする気分じゃなくてね……
と、声にする代わりに窓を閉めた。
何もかもが濡れているかのような景色が拡がっているのに、ぼくが発する言葉はたぶん、ギスギスと渇ききっているのだろうな。
言葉を放ったその先に君がいたのなら、知らずと傷つけてしまったかも。
声を可視化して、空の下に差し出したなら、
雨に打たれて多少は言葉も潤うのかな。
そんな言葉を君に投げることができたなら、
きっと君は、返してくれるのだろうね。
そう想うことで
なんとか均衡が保てた気がした
今のぼくの
にびいろのこころの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます