第72話 旅たちの港での出来事

次の日



船に乗り込む前のジェローム達との再会


「え?」「あの?」

「その姿は ナジムさん?」「・・・・」「・・・・」


京矢と綾小路子爵は黙ったまま



「ああ、実はジェローム様が 私がフランスに住む為に 

フランスの国籍を用意してくださったのは 良かったのですが・・」


「どうゆう訳だか 女性の国籍だったですよ このダメダメ主人のやる事ですから」


「税関の審査もありますからね」

「欧州では陸路の場合 列車の中とか 道路の途中とか そんな場合は また女装ですよ」


「まったく・・」淡い化粧に女性の服装のナジム


とても素敵なフリルつきのブラウスにジャケットの上着

大きな帽子 すんなりとした長い 足元近くのスカート



服につけた宝飾品も品が良く 良い感じ 耳にはイヤリング

眼鏡はなしであった

ナジムは 何処から見ても 美しい貴婦人に見えた


「ああ、ナジム 良く似合うぞ はははっ」とても楽しそうなジェローム


まるで夫婦のようにも見え・・なくもない


「そろそろ年齢的にも 女装は限界です 早く男性の戸籍をください」

「僕のコルセットを締めるのが楽しいのでしょうか?」ナジム

「セクハラと思いませんか?」ナジム


「あはは」「はは・・」「おほほ」

「ふ・・ふふ」力ない笑みの見送りの四人


「まあ、お、お似合いですわ 今度、またお会いしたら女子会しましょうか?」有栖

「手毬さん有栖さんと三人だけですね!」声が弾んでいるナジム


「あの時、女性の戸籍が格安だった」にやにやと笑うジェローム


「あ・・」手毬は何処かでこの姿を見たような気がした 首をひねる

そう、手毬は忘れていたが、鹿鳴館の舞踏会での男爵夫人である

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る