第64話 茶菓子

「ああ、御茶菓子が美味しい」そっと小声で呟く有栖

裏千家のお茶のお点前であったりする


緊張しながら、手毬は習った通りの仕草で 釜からお湯を入れて、音を立てながら

茶筅でお抹茶を準備していた。

コトリと小さな音を立て、茶筅を近くに置く

一つ一つの動作に決まり事があって、指先の配置から全て決められている。


柄杓を扱う動作 茶匙を袱紗(ふくさ)で清めて 小さな茶入れから

美しい椀にお抹茶の粉を入れ 茶匙の方は小さな茶入れの上に

それから茶筅で『の』字を書くように廻してゆく。


無事に客役の同級生に作った薄茶をそっと出す


茶席では 普通は甘い和菓子だが、茶会ともなると懐石の食事などもある。


学校で習ったお茶の作法だが 不思議と心落ち着くものがあった。

そっと見れば 有栖の方はお菓子に夢中のよう・・


お茶の練習の後で 同級生から次々と和菓子を差し出される有栖

・・貢ぎ物とも言う


「有栖さま」「有栖様 どうぞ」「これもいかがでしょうか?京都の店からですの」


「まあ、有難う!」


・・実は手毬だけでなく有栖は意地悪な同級生や先生を凹ませて

他の生徒達も庇っている 親分肌

容姿に性格、優秀さも手伝い・・語学は外国に行っていた事もあり堪能


人気者であった。


「香道の方もあるけど、やはり茶道の勉強を取って良かったわ」ご満悦な有栖


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