第36話 茶店 貴婦人と子爵 

子爵は 貴婦人の手を引いて 茶店へと入る

「さあ、どうぞ」

「うふふ 有難う」貴婦人は微笑む


「昔は団子やお茶だけだったけど

今では御洒落で異国の紅茶なども飲める時代ね ほほ」


「叔母様」


「平民だった私も こうして今は華族

でも 貴方の奥方には 身分のある娘が相応しいと思うの」

「ありがたい事ね」


「所有の土地の収益に始めた商売が順調とはいえ 貴方には後ろ盾がないわ」


「それは やはり不安材料よ 貴方の地方にいる親戚たちも心配してるわ」

「・・・・・」


「伯爵さまのご令嬢の有栖 様がよく遊びに来ているみたいですけど」


「いえ 彼女とは・・」少し驚いた顔をして答える




考え込む綾小路子爵

「そうなの?」意味ありげに 貴婦人は微笑む


「叔母様」「ふふ、みきさん」


「伯爵令嬢の有栖様は美しいわ 私はそう思うけど」


「そんな 私は・・・」戸惑うばかり



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