第20話 お弁当と食欲魔人と虐めと・・

「今日のお弁当も美味しそうね 手毬(てまり)さん」


「あの どうぞ」手毬が差し出す

「まああ 有難う 私のもどうぞ」有栖(ありす)

「い・・いえ、そんな」手毬(てまり)が恐縮しているが

「いいから うふふ」有栖


そんな二人を見ながら 同級生たちの会話

「有栖様と本当に仲が良い事ですこと」「ええ」

「よく似ている気がするのですけど」「ええ?まさか」


「手毬さんの方が地味ですけど それに眼鏡と髪型が違うから」


「手毬さん 本当は店の使用人 そんなはずはないですわ」

「有栖様は本当のお姫様ですもの」


「身分の違うお二人なので 本当はあまり 仲良くされない方が

いいとも思うのですけどね」


「・・・・・」


「案外と有栖(ありす)さまは よくお召し上がりになるのですね」

「ですわね・・」


「あの、もっと食べますか?」手毬「まああ、ありがとう 手毬さん!」有栖


決して遠慮はない有栖である


有栖がいない時 手毬は別の教室の生徒に取り囲まれる



廊下で教師に頼まれた書類を運んでいるときだった



「・・貴方 店の使用人なのでしょう?」

「この学院は名門、此処にいる資格があるのかしら?」「あの、私は・・」


「私達は華族に あるいは大きな店の娘 貴方は?」

泣きだしそうになりながら 必死で言葉を紡ぐ手毬

「私は‥」「私は‥」

「あの・・」言葉に詰まってしまった手毬


そこに現れたのは 有栖

「あら、何をしているのかしら?」言葉を続ける有栖

「もしかして虐めかしら?」

睨みつける有栖

「手毬さんは 選ばれた優秀な方よ 見過ごせないわね」有栖


「まだ 何か?」腕組みの有栖


「いえ、あの 失礼しますわ 山之内さま」

そそくさと逃げ出す 意地悪な少女達




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る