第4話 二人の異人

「そうそう、九州の佐賀藩・いえ、佐賀の焼き物と薩摩の切子ガラスの手配は済みました

福岡博多では 日持ちする加工した果実の手配と・・東北では 日本のお酒にしますか?」

「予定ではありませんでしたが 金沢の九谷焼もいいですね」

「そうだな」


「浮世絵の購入は?」

「東京と京都で 手配が済みました」


「さすがだな」「毎度の事ですから ふふ」


「こちらから、リネンやレースなどの生地を販売していただく手配です」

「それから・・」肩をすくめる少年


「どうした?」青年


「はい 待ってください」 鞄から書類を取り出す


「グローブ、シナモンなどの香辛料は、あまり、ニーズがなくて、 

西洋料理を扱うホテルや横浜のレストラン

それに大使館などに卸す予定です 胡椒は別ですけどね」



「胡椒は金の価値 砂糖は銀の価値」

「ナポレオン時代に甜菜から砂糖が作られて 値段も下がりましたが」


「ええと・・それから」書類をめくる少年



「商品は沢山 他にもありますから」にこやかに微笑む少年


「それから」

「香港から購入したスワトウの刺繍のハンカチは?」


「こちらは、欧州に送りました 一部は日本にも卸します」


「友禅の着物は?」「はい 良い業者が見つかりましたよ」


「絹糸の品質がいい 

欧州のレデイにとって、ストッキングはとても貴重で

大事なものだ  他にも肌着やブラウスにも素敵なものだが・・」

ふうとため息をつく


「一部の工場で、何か問題があったらしいな」

「ジェローム様」


「で・・日本に来た目的のひとつ」嬉しそうに笑う


「パリ万博では、盛況でしたよね

あいにく、今は またアメリカでの公演中だそうです」少年はまた 肩をすくめる

「そうか・・ナジム」

「それは惜しい まあ、またの機会もあるだろう」とても残念そう


「まあ、日本に戻られるとも思いますから」


「お、うまそうだな」

「この栗の和菓子 美味しい パリの焼き栗売りを思い出します」

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