あの頃の私は
小学校5年生の時、人と喋る事が苦手だった。
だから友達は居なかった。
そんな私が好きなのは本だった。
何時も本を南公園に持って行って、読んでいた。
南公園には同じクラスの同級生は居なかった。
小学五年生になって移動範囲が広くなったのか、クラスの皆で佐倉市以外の市
に出掛けていることが多かった。
私はみんなが出掛けている間は本を読んだり、花や歴史が好きなので、
私一人で南公園に行って、本を読んだり、佐倉ふるさと広場に行って、
お花を見たり、武家屋敷にも行ったりしてたなあ。
でもそんな事を繰り返していた夏のある日、私は南公園で本を読んでいた。
すると人が近づいてくる。
「何読んでるの?」
中学一年生くらいの男の子が私に話しかけてきてくれた。
「グリム童話」
「グリム童話って何があったっけ?」
「ヘンゼルとグレーテル…」
「あ、そうだった。俺はすぐ分かんなくなるな…」
「そういえば名前は…?」
「俺の名前はね中学一年生の佐倉帆高。君は?」
「小学五年生の鈴木悠亜…」
「じゃあ悠亜ちゃんって呼んでいい?」
「良いよ。じゃあ帆高君って呼ぶね」
そして私と帆高君との交流が始まった。
南公園で一緒に遊んだり、佐倉ふるさと広場に一緒に行ったり、
更には佐倉市以外の市のテーマパークに一緒に行ったりした。
そんな1年後のある日。
「悠亜ちゃん。話があるんだ」
「どうしたの?」
「俺、実は佐倉市から引っ越すんだ…」
「何処に引っ越すの…?」
「鎌ヶ谷市…」
「遠くなっちゃうのか…。たまには佐倉市に帰って来てね。待ってるから。」
帆高「うん」
そして2日経った。
私はユーカリが丘駅のホームで京成津田沼駅行きの電車を待つ帆高君と話す。
「帆高君、元気でね」
「うん。悠亜ちゃんこそ元気でいてね。」
「私、人と頑張って話してみるよ」
「困ったら、何時でも相談しろ。」
「うん。」
そして京成津田沼駅行きの電車が到着する。
「元気でね! また帰って来てね!! 待ってるから!!」
「ありがとう!! 頑張って!!」
そして電車は行った。
そして、ユーカリが丘駅を出る。
外に出るとユーカリが丘の空は快晴だった。
そして虹がかかっている。
「佐倉の空はとっても綺麗ね」
私はそう呟いた。
周りを見渡すと大学生ぐらいの男の人が写真を撮っている。
きっとSNSにでも上げるのだろう。
そんな大学生を尻目に私は歩く。
そして家に急いで帰った。
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