第30話 またきてくれた

『本当にすみませんでした』


 そんなDMが辛子風味さんから届いていた。

 もう起きたみたい。


『寝惚けていて、おかしなことを口走ってしまいました。忘れていただけると幸いです』


 辛子風味さんは配信などで、普段から敬語で話してるみたいだけど、この場合って遠慮なのかな?

 ここは私が距離感をつめるべき……


「り!」

『ありがとうございます』


 あれ?

 今の若い子ってこういうんじゃ……

 そもそも、辛子風味さんの年齢知らない!

 これだと私が無理して若い子たちの言葉使ってる~ププッみたいな風に思われちゃうかもしれない。


「りょうかいです」

『ありがとうございます』


 ん……

 おんなじ言葉で返事きた。

 私が2回おんなじこと言ったからか。


 でも、せっかくVtuberの先輩なんだし、胸を借りようかな?


「コラボしませんか?」


 嫌なら断るだろうし。


『そうですね。コメントでも残ってしまっていますし、宜しければ近いうちにコラボさせていただけると嬉しいです』

「今日にします?」

『今日ですか?』

「辛子風味さんの都合のいい日にしましょう。私は基本大丈夫なので」

『みかんさんがよろしいのであれば……でも、体調とか大丈夫でしょうか?』

「元気です!」



φφφ



「て感じ」

「えっと……そうですね」

「急だったからゲーム用意できなかったんだよ~」


『説明感謝』

『やっぱねぼけてたのか』

『コラボってほんと……簡単に決まるんだなぁ……』

『ありがとうございますありがとうございます』

『実質雑談配信が伸びたってだけ』

『やることある? 気まずくならない?』

『体力あるなぁ……』

『そろそろ寝ます……』

『それはどうなの? ちゃんと計画立てるべきじゃない?』

『フットワーク軽い』

『休んで』

『1時間くらい会話するの?』

『普段繋がりってある?』

『こんにちは! お昼休みで来れました!』

『また配信してますね』

『ふーみちゃんこんにちは!』


「本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいです……」

「私は、普通にうれしかったよ? 聞きながら寝ようとしてくれてたみたいだし!」

「お恥ずかしいところをお見せしました」

「こっちこそ、無理言ってごめんね? もともと配信予定なかったんでしょ?」

「決まった日をお休みにしていただけで、今日は他に用事もありませんでしたから」

「そういう用事の無い日って何してるの?」

「晴れていれば散歩やショッピングに出かけますね。通勤で歩くということがないので、健康のために」

「すごいね。私は外で歩かないからさぁ」

「あまり外出はされないんですか?」

「だね~。でも、みんなそうだと思ってた! ショッピングって何買うの?」

「何と聞かれると……普通に服や小物ですね」

「あー、季節で服変えるんでしょ? 大変だよね~」


『俺たちはみかんちゃん派だぞ!』

『え? 一年中同じ服ってこと?』

『おぬしも引きこもりじゃったか……』

『あなたもニートなのですか……?』

『わかる。歳とると気温、気にならなくなる』

『部屋の中ならエアコンつけてれば1年中快適だしね』

『体調悪くならない?』

『イラストレーターって言ってるだろ。ニートは働け』

『気温感じないやつ、成仏してくれ』

『外出ろ』

『同じと思ってるやつ。みかんさんは自宅兼職場だからな? 勘違いすんなよ?』

『日光には当たっておいた方が……』

『普段何着てるんです?』

『変えないことある?』

『差がすごい』

『ファッションに興味ない系人類か』

『楽ですもんね! わかります!』


「はい、勿論流行とかありますし……」

「大変だね~」

「えぇ……」


 服とかは、本当に資料としてしか買ってないし……

 今は必要ないし。

 あ、でもネタの服は知ってるかも?

 例のセーターとか。

 ちょっと古いかな?


「みかんさんは、あまり服とかに興味が無いのですか?」

「んー、最近だと……軍服とか買いたいよね」

「はい?」

「あんまり買う機会なくない?」

「そう、ですね?」

「一つくらい手元に置いておくのもいいと思うんだよね」

「この前描いてませんでしたか?」


 あれ、あのサバゲ―の服も見てくれたんだ。

 っていうことは、ゲームの配信も見てくれてるんだなぁ……


「逆にあれで興味がわいて?」

「それは……確かにありますね。制服とか」

「あー、わかる! スーツとかも買わない?」

「あります。私も描こうと思った時に手元になくて」

「買っちゃうよね~。家の外を歩いてる子をじっと観察するわけにもいかないし」

「あとは実際に着てみたりですね」

「え?」

「え?」

「着るの?」

「はい。……もしかして、着ないんですか?」

「うん……私には若すぎるの多いから……」


 年齢的には……ぎりぎりかな?

 アウトかセーフかはおいておくとして。

 描くときは柚子が着てる姿妄想してるし。


「写真って公開してるの?」

「してませんよ!?」

「じゃあ……一人おうちコスプレ?」

「わぁー!! やめてください、そんな風に表さないでください!」

「……いいね!」

「何もよくありませんよ!?」



 

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