主人公は決して善人ではない。同情はできても共感は難しいかもしれないが、丁寧な文章表現が読者を引き込み、読んでいる内に主人公の憤りや気持ちの揺れ動きなどをまるで自分が感じているようにさせてくれる。 祝呪官吏の言葉にも一々いら立ち、胸が痛み、時に自分が実際に感じた理不尽を思い出すこともあるかもしれない。しかしラストに感じる一筋の希望が、読者の胸に温かい光を与えてくれる作品。
物語は主人公が死んだところから始まる。死後は何もできないはずなのに、謎の男が現れて「選んでください」と言う。何を選べと言っていて、主人公はどれを選択したのか―― 主人公のココロの動きが繊細に描かれており、自分ならどうする? と一緒になって考えさせられます。ラストまで引きこまれる作品です。 気になる方は読んでみてください。
残酷な世界観とストーリーに、ズキズキ胸が痛みました。現実世界の社会問題に鋭く切り込んだ設定も、その痛みによりリアリティを与えていて良かったです。それでも、わずかに希望を感じる終わり方だっと思います。 文章に関しては、ちゃんと地の文や回想で背景を説明してくれているので、とても解りやすかったです。私はあんまり台詞で説明されるとくどいと思ってしまうので、このくらいが丁度いいと思いました。