ドキドキ初デート 4
「さて。じゃあサキコちゃんにお土産買って、そろそろお昼ご飯食べに行きましょうか。近くに美味しいランチを出してくれるお店があるのよ」
「はい!」
少し鼻をすすりながら、返事をする。それを見て、雪ちゃんがフッと笑った。
「じゃ、行きましょうか」
「あ、待って下さい!」
先を歩く雪ちゃんに置いてかれない様に一生懸命追いかけるも、結構な重量感のぬいぐるみを抱えているもんだからさっきから足が
見るに見かねた雪ちゃんが、「貸しなさい」とぬいぐるみを持ってくれた。
「ありがとうございます」
すれ違う人みんなが、雪ちゃんを見てヒソヒソ話をしている。
「すごーい!」
「おっきいイルカ!」
「すげー美人」
「え、あれめっちゃ高かったよ!?」
などなど。
それを聞いていて、なんとなく優越感に浸る。
雪ちゃんを見ると、迫力のある美人がでっかいイルカのぬいぐるみを持っている事がなんだかミスマッチで、私は心の中で小さく笑った。
*****
車で十分程走った海沿いに、小さなコテージが建っていた。
「着いたわよ」
雪ちゃんがそのコテージを指差す。
よくよく見てみると、行列とまでは行かないが、四、五人が外へとはみ出して並んでいた。
「人気のお店ですか?」
「ええ。今日は大分空いてるわ。いつもならもっと並んでるんたけど」
「へぇ」
車を駐車場に停め、最後尾に並ぶ。
お店をグルッと見渡すと、入り口の横に、
『レストラン・オーシャン』
と書かれた看板が立っていた。
「どんなお料理のお店なんですか?」
「基本は創作料理のお店よ。その日に獲れた新鮮な海の幸に合った料理を作ってくれるの」
「おぉっ!」
それはもの凄く楽しみじゃないか!
楽しみ過ぎて、顔がニヤける。
「アンタ、本当食べる事が好きなのね」
「はい、大好きです!あ、作る事も好きですよ!……ホラ」
私は自分で作った料理の写メを雪ちゃんに見せた。
「へ~、意外ね。ちゃんとしてるんじゃない」
「はい。ウチ、母親が料理上手で、『女たるもの、料理が出来て当たり前』が口癖なんです。少し古い考えだとは思うんですけど……。なので料理は小さい頃からやってました」
雪ちゃんが写メを食い入る様に見ている。
「雪ちゃんは、料理とかしないんですか?」
「一応するわよ。毎回外食じゃ飽きるもの。でも、ハナや江奈くらいはやらないわ」
「そうなんですか」
なんとなくのイメージなんだけど、何でもそつなくこなしているのかと思っていた。
てか、名前を呼ばれる度に少しドキッとするの、止めたい……。
「お次の方、どうぞ~」
店員さんに呼ばれて、私達はお店の中に入る。
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