偶然知ったヒミツ 6

同僚の、笹木秀典ささきひでのり


実は私は、こいつにストーカー紛いの事をされている。


入社当時から好きだった、ってこないだ告白されたんだけど、正直よく知らない人だったし、知らない人に告白されても困るだけだった。

そもそも今は恋愛している気分じゃなかったし、この人の目つき(一重まぶたで細く切れ長)がどうも好きになれなくて、申し訳ないけど告白は断った。


でも、その後も私へのアプローチは続いて、どんなに交際を断っても一行に引いてくれないこの男に、私はほとほと嫌気が差していた。


『もう付き合っちゃえば?』


そう周りから言われたりもするけど、私にそんな気は一切無い。

日に日にエスカレートしていく着信攻撃に(そもそもどうやって私の携帯番号を入手したんだ?)、どうして良いか分からずストレスが溜まる一方だった。


しばらく鳴っていた着信が、鳴り止む。


携帯を手に取り履歴を確認すると、ディスプレイにはやはり『笹木(ストーカー)』の文字。またかかって来ては厄介なので、そのまま電源を落とした。


「はぁ……」


自分でもビックリする位、大きな溜め息が私の口から漏れる。


「どうしたの?何か、悩み事?」


「あ、いえ……」


なんでもない、と言おうとして、グッと押し黙る。



どうしよう。



思い切って津田部長に相談してみようか。


……いや、こんな事を聞かされても、困るだけだろう。ほぼ初対面みたいなやつのこんな話、聞かなければ良かったって絶対に思うはず。


でももし、津田部長に相談する事で何か解決策が見付かったら?


言ってしまおうかどうしようか悩み、唇を噛みしめる。津田部長はそんな私を心配そうに見つめてくれていた。


「困っているなら言ってみれば?アタシで良ければ力になるわよ」


それを聞いた瞬間、私の中でせき止めていた何かが切れた。


(あ……もう限界だ……)


その瞬間私は、全ての事を話していた。


「実は――」


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