召喚士は万能だった!
青緑
転生しました。
儂は
そこまでは覚えている。
「ここは、一体…?」
何度見回しても、真っ白い空間に自分は立っているが、何も置かれていない。だが、「椅子が欲しい」と願うと椅子が
「君、ご飯は要るかな?」
「えっ!?………。」
「要るのか、要らんのか、さっさと言いなさい!こっちは忙しいんだよ、言わないなら抜きにするよ!!」
「は…はい、い要ります!
そうこうする間に数分後には出来上がったので、机へ持っていくと机が1人用から2人用へと変わり、椅子も1つ増えた。互いのテーブルへお盆を置き、椅子へ掛ける。その美女は立ったままなので、「椅子に座りなさい」と言うまで動かなかった。それから食べようと口を開きかけた時、その美女は声を掛けてきた。しかし儂は年を取り過ぎたのか、イライラして仕方ない。とにかく美女には、「食事中は静かに食べる!そんな事も出来ないのかい」と愚痴れば、「私、これでも女神なのにー」とボソッと言うので、ひと睨みすると押し黙った。
食事を食べていると、昔を思い出す。学校では友人と遊び、休日には友人の家へ行って勉強会を開く。そして大人になると、友人と酒を飲んで、談笑する。そう思い出していると、食事は終わり、思わず口が
儂が未練を消して頭の中が白くなっていると、美女が「待った」を掛けた。その途端、頭の中がスッキリして
「もう少しだけ待ってください、もうちょっとで食べ終えるので!お願いですから…」
「分かったわい、少しくらい待ってやるわ。」
「有難うございます、有難うございます!」
何もせずに料理を思い浮べようかとしていると、何故か礼を言ってきた。ただただ美女は無言を貫きながら、料理を食べていく。1時間もしないうちに食べ終えると、美女は儂に面と向かって顔を見てくる。儂には美女の顔をどこかで見た気がしたが、思い出せない。お互いが見合っていると、美女の後ろで不気味に笑う男が居た。何故かは分からないがイラッときたので、ナイフを虚空から3本取り出すと、その男へ向けて投げた!美女は目を見開き、背後の男は間抜けな声を上げるが、男を壁にナイフで縫い付けた。壁は儂の思い通りに動くらしく、ナイフを元に男を縛り上げる。その男は金髪で猫のような目をしたチャラ男で、何か言いたそうだが縛られて声が出ないようだ。しかし儂は男を無視して美女に声を掛ける。
「ご飯はどうだったかな?」
「は…はい、とても…美味しく頂きました。それで、その…」
「儂は家で亡くなった筈なのじゃが、何故まだ生きているのかな?一応は聞いておくが、ここは何処だ?」
「ここは天界と呼ばれる神域で御座います。この神域を管理し世界を見守る存在で、一応、女神をやらせて頂いて…おります。」
「む?『一応、女神…』と言ったか、何故じゃ?」
「あっ、そのですね。先程怒鳴られて、女神である自身が無くなりまして。あっそれと料理は美味しかったですよ?とても懐かしい味でした、まさかまた会える日が来るとは思ってませんでしたが。ふふふ…」
「ん、儂は覚えてないんじゃが?…何処かで会ったかのぉ。」
「ああ、それはですね!以前、異世界に勇者召喚する時に巻き込んでしまったと、知り合いの女神から聞きまして、覚えてないのも仕方ありません。もう何十年も昔のことですからね、もう私の名も…」
「うん?なんじゃったかな…」
「ああ、無理に思い出そうにも、出来ないかと思いま「あっ!」すよ?」
「あんた、カノンか?あの時に女神の側で茶を出すのも、ドジっていて叱られていた奴だろ!」
「えっ!?…何故覚えておいでに?」
「何故って、元の世界に返還された時から覚えておるよ、『知り合いが数人居なくなった』って騒がれていて、誤魔化すのが大変じゃったわい。」
「えっ!」
「にしても、知り合い、ねぇ。」
そう口に出すと、カノンは顔を赤くして視線を逸らす。しかし、そう思えば思うほど、あの時も飯を作って女神と食事したのを思い出した。そして壁に捕まっている男は以前の女神をしていた女性の傍らに居た筈だ。そこで席を立ち、男の近くへ向かっていく。男を儂の近くへ近づけさせ、顔だけを解放させてビンタを繰り出す。
「おい、起きろ!」
「ひっ」
「お前は前に会ったな、前の女神はどこ行った?それにドジっていたカノンが女神をしてる?」
「はっはい。前・女神様は神の座を下されました。以前の勇者召喚で勇者が魔王に勝てなかった事で神格が少なくなって、下界へ堕ちました。今は厄災として扱われ、山に篭ってます。下界へ堕ちた以上、私達には何もできません。」
「って事は下界で作られた神の名がカノンになり、神格を得たので女神を勤めているって事か?」
「っ!…はい、その通りです。神力はあるのですが、神格が無い以上は戻って来れません。それに世界で女神は1人と決まっていますから、神格が戻っても力が戻るだけで何も変わりませんし、大抵の堕ちた女神は邪神認定で討伐されます。」
「ふーん、じゃあカノン様?」
「"カノン"で良いです。私は神格が多少あるだけで、世界に干渉は当分できないので、居る意味が無いんです。下界では、神殿も作られず、ただ地方の守り神扱いですから、神格が上がりませんし!」
「じゃあカノン、儂を何のために
「はい、全うされました。私も
「えっ?"勇者"じゃなくて、"勇者の仲間"だと?それじゃあ、勇者は誰がやるんじゃ。」
「それは以前の勇者召喚で喚んだ
「(儂は目の前の状況をどうすりゃ良いんじゃろ…。)おい、カノン!」
「はい!何か質問ですか?」
[バシッ!]
「痛っ!?…何するんですか!あっ、ごめんなさい、もう1発は勘弁してください。お願いです…」
女神カノンが太郎の目線に合うようにと膝を折った姿勢を狙って、頭を思いっきり殴った。1発で夢が覚めるかと思ったら"現実"で、もう1発すれば…と意気込んだが女神カノンは涙目で拒否を訴えてきた。壁に捕まっている男は女神の頭を殴ったことに
女神カノンは何故殴られたかが分からないとでも言うように、殴られた部分を左手で
「ん?何かしたのか、カノン」
「あっいえ、何も…」
「…とでも言うと思ったか!はぁ、精神世界で無かったら終わってたぞ!」
「そそそれは、あなたが殴ったから!私は悪くありません、謝るなら早めにしてくださいね。やり返したいなら、やってみろ…です。」
「言ったな?」
「ええ、言いましたが、何か?」
「おい。紙とペン、出て来い!」
「そんなことが出来るはず無いですよ?ここは精神世界であり神域です、そして私は女神カノンですよ!」
「………。」
「へっ!?…なな何故ここに、その"紙とペン"が?」
話してる最中にテーブルの上に"紙とペン"が現れる。そこの紙には『契約書』と書かれて、ペンは羽根ペンであった。そして太郎は紙に条件を付け加えていく。それから慌てている女神カノン(放心状態)が見守る中、太郎は契約書を書き終え、女神カノンの手を契約書に触れさせると『契約完了』と出た。女神カノンが気付く直前に、契約書が金色に輝き成立した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『~契約書~』
…条約…
・女神カノンは井沢太郎に最大限の支援をすること。
・女神カノンは井沢太郎に最大限の情報を正しく伝えること。
・女神カノンは世界に干渉する際は必ず井沢太郎の許可が必要である。許可が無い場合は干渉を制限する。
・女神カノンは井沢太郎を勇者一行と同じ呪いを掛けること。
※この条約は井沢太郎が生きている場合のみ、有効である。また、この契約書の破棄は井沢太郎の許可が必要である。※
井沢太郎✔️
女神カノン✔️
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「な…な…な…なにを…」
「儂も我慢の限界だから契約書を作ったよ、カノン。ほら、これを見てみなさい」
「………。」
「…カノン様、そこには何が書かれているのですか?」
「別に良いですよ、太郎様。では早速、呪いを掛けさせて頂きますね!」
「ああ、頼んだ。」
[ポンッ]
「はい、掛けました!これでよろしいでしょうか?」
「ああ。それじゃ、体を用意してくれ。この年で赤ん坊から…というのはキツイしな。」
「わっかりましたー!では性別は男性で、年齢は何歳にしますか?」
「12歳だ!」
「え?」
「流石に子供過ぎてもダメだし、大人過ぎても勇者達に申し訳ないだろ?それにスキルが手に入った所で、レベルは1からだろ?」
「ええ、確かにレベルは1ですが頼まれれば、Maxに出来ますよ!」
「ダメだ!経験を積んでからの方が良いだろうしな。それでもというなら、ユニーク(固定)スキルに『成長が倍になる』スキルを入れてくれ。」
「はぁ、真面目なんですねー。じゃあ、12歳にします。ユニークスキルも追加しました、スキルというか能力は何が良いですか?一応、天寿を全うしているんで、2つまで良いですよ?…えーと、リストです。」
「ありがとう、うーん…」
「オススメは剣士系か"魔法使い"ですかね、補佐スキルとして"裁縫"なんてどうですか?」
「いや、"召喚士"と"創造魔法"にしよう。"召喚士"には様々な補正が入るし、"創造魔法"は"魔力増加(大)"が入っているからじゃ!」
「では、そうしますね。あっ、それと、12歳の少年になるなら、老人語はやめた方が良いですよー。」
「そうじゃ…、いや、そうだな。」
「そうそう、それが一番ですよ?ではステータスの方は任せますね、好きに割り振ってください。天寿を全うしているお陰か、かなりポイントがあると思いますよ!」
「では少し考えようかな?」
「では、あちらで待ってます。」
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井沢 太郎 男 12歳
職業:召喚士Lv1、創造魔法使いLv1
体力:200 魔力:900
攻撃:50 防御:260
運:EX
ユニークスキル:成長倍率化、勇者転生、召喚、降臨
スキル:魔力増加(大)、異常耐性無効(病気、毒、怪我を即回復)、他・召喚士特有スキル(26)
称号:勇者召喚に巻き込まれし者、転生、神に抗う者、神に愛される者、神の怒りを受け流す者、召喚士、世界創造者、賢者(仮)
未加算ポイント:不明
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「それじゃ、こうしようかな…」
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井沢 太郎 男 12歳
職業:召喚士Lv1、創造魔法使いLv1
体力:200 → 1200
魔力:900 → EX
攻撃:50 → 50(+500(レベルアップ毎に加算))
防御:260 → 900
運:EX
ユニークスキル:成長倍率化、勇者転生、召喚、降臨
スキル:魔力増加(大)、異常耐性無効(病気、毒、怪我を即回復)、他・召喚士特有スキル(26)、ステータス
称号:勇者召喚に巻き込まれし者、転生、神に抗う者、神に愛される者、神の怒りを受け流す者、召喚士、世界創造者、賢者(仮)、□□之神
未加算ポイント:不明
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「これで良いだろう、ポイントはまだあるが、先で良いだろうしな(ボソッ)」
「終わりましたか?確認しても良いでしょうか、女神なので。」
「見せる前に1つ聞いておきたい事がある。強い種族で個々の平均攻撃力と、人族の最高攻撃力と体力を。」
「ええ、良いですよ?強い種族は竜族ですね、平均攻撃力は…1万です。最高だと、何倍か違いますよ?」
「そっか、気を付けよう。」
「それで人族ですね、最高だと歴代の勇者ですが、竜族と大差無いですね。体力は5000前後だったかと。」
「そうか、なら大丈夫だろう。ほれ!」
「拝見しますね、なかなか良いですね!称号に変なのが有りますが、バグでしょうし、大丈夫でしょう!」
「バグって…。そんなゲームみたいな事って、実際あるのか?」
「
「まずは下界に降りる前に、多少の魔法が使えるように修練するか。いろいろと弄らないと、いざって時に出来ないと困るしな。」
「では、また食事が出来る訳ですね!また太郎の食事を食べられるなんて、幸せです。こういう時ってウキウキしますね!」
「ああ悪いが、早く降りるから食べるのは1食分だが良いか?」
「え?」
「だって早いうちに土台を作んないと生活出来ないだろ?それに女神なんだから、下界に降りれないだろうし。まぁ下界に行ったからといって、ここと同じ料理は作れないだろうしな。」
「では、こちらが修練用の広間です。でも条件があります、降りる前に料理を作って手渡しで渡してください!」
「おっおおう。分かったよ。」
「やったー」
「(女神の威厳が一瞬で崩れそうだなぁ…。)じゃあ、そこで伸びてる男を連れて行ってくれ。」
「はい!」
太郎は修練に、女神カノンは伸びた男を連れて去った。太郎はまず、"創造魔法"で自身のスキルを増やす為に魔法を作ることにした。火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法を作ることにした。火魔法、水魔法、風魔法、土魔法の4つは簡単に出来たが、光魔法、闇魔法は難しかった。火魔法、水魔法、風魔法、土魔法の4つは原型となる物があるが、光魔法、闇魔法に関しては原型が無く、上手くいかない。
「よし、1回やってみるか。」
そこで思考を変えて光魔法を回復魔法に、闇魔法を影から手が出てくるようにすると、楽に出来上がった!ただ精神世界なので、光魔法は当分使えない。闇魔法は虚空をイメージしながら使っていると、闇魔法から分離して空間魔法のアイテムボックスへ変わった。アイテムボックス内に入れた物は時間が止まるようで、火魔法を拳大を入れると…周りに燃え移ることがなく、火の玉が置かれるという感じだった。また水魔法でもやってみるが、これも同じだと判明した。火の玉と水の玉を両方入れても、
さて次に"召喚士"を試したいが、召喚には数種類あって、現界で生きている物に名を与えて契約する。ある魔法陣に魔力を送り、その魔力に見合った生物が現れ、契約する。但し、この方法には問題があるようで、喚び出しても気に入ってくれれば契約でき、気に入らなければ攻撃される。攻撃を迎撃して勝ったら契約する方法もあるが、死と隣り合わせなので危険。魔法陣を使う時は場所を選ばないといけないし、魔力に見合った生物と契約出来れば『名誉』だが、出来なければ失敗となる。主に、この3つが出ている。他にも慕われた者や、服従した者と契約することがある。その場合は、同族の契約は不可であるが。
「まず、今は精神世界なのだから、現界している生物には会えない気がする。(精霊と契約はできるが、精霊は
太郎は"召喚士"スキル内から適切な魔法陣を見つけ、目の前に広げる。スキルレベルは、スキルを使った分と、召喚を繰り返す事で上がるらしい。そこで最初から強めの生物との契約を望み、魔法陣に魔力を注いでいく。精神世界でも喚び出すだけなら大丈夫だろうとカノンに確認済みである。ステータスにはEXと書かれて幾らか分からないが、ゲージがあるので、ゲージの9割を魔法陣に注ぐ。その変化は注いでいる際に表れた。魔法陣の上に紫色の渦が出たと思いきや、今度は金色の渦というのが繰り返され、数分経った頃に1人の男が立っていた。威厳がありそうな服装に、竜の顔…いや竜人のようである。
「…ん!どこだ、ここは。おい、そこの霊よ。答えよ、ここはどこだ!」
「あ、儂は井沢太郎と言います。ここは神域ですよ?来たことありませんか?」
「ある訳が無い、死んだ者しか来れないのだからな!それで、お前が喚んだのか?俺を?」
「そうだが、何か文句があるのか?儂は"召喚士"だ、まだ未熟じゃがな。」
「ならば、その霊体ごと消し飛ばしてくれるわ!俺は現・竜王だぞ、霊体如きが喚んで良い者ではないのだ!消えよ、そして二度と使えぬようにしてくれる、『竜の息吹』!」
[グァオオオオオ…]
「ふーん、
「へっ?」
「全く近所迷惑だぞ、少しは黙っていろ!」
[ベシッ]
「痛い!?なぜ竜王の俺が痛みを感じるのだ、なぜ…」
「騒ぐな、少しは黙って見ていろ!」
太郎は竜王の頭を女神カノンに使ったのと同じように殴り付けた。そして契約していないのに、竜王は命令に従ってしまう。竜王は訳が分からず、不機嫌な太郎を見上げ、疑問しか浮かばない。彼は竜王であり、傷を負った事が少なく、体表に切り傷を付けたのは過去に勇者以外居ないのだから。竜王は赤い竜の顔持ちで髭を生やし、何処から見ても王族であるという雰囲気と威厳と覇気が出ている。今では殴られた衝撃で涙を流して、両手で頭を抑えているのだが。
太郎も竜王も思うことは同じようで、契約以前に睨み合いが始まった。だが年の功なのか、先に折れたのは太郎だった!竜王は最初こそ固まっていたが、次第に驚きの表情が出てくる。しかし太郎は見もせず、「面倒だ」と一言
次の魔法陣に魔力を注ぐと、先程とは打って変わり、
「あれ?ここは…、どこでしょう。そこの方、ここは何処だか分かりますか?」
凛々しい佇まいで言っているが、目線は見下したような目をしていた。話を聞いている間も、ピリピリした雰囲気が漂うが、太郎は堂々と伝える。
「儂は"召喚士"の井沢太郎と言います。ここは神域、と呼ばれる場所ですよ、お嬢さん。」
言ったのと伝えたのが繋がった途端、女性の眼光が厳しいものへ変わった。一瞬、竜王を見ていたが、呆れた表情で太郎を見下した。正確には身長差ではなく、上から目線という感じである。
「喚んだのは貴公なのだな!私は鑑定スキル持ちなのだ、貴様のステータスを丸裸にしてやるぞ。」
「どうぞ、どうぞ。お好きに…」
「随分と軽いではないか、これで鑑定した結果が弱かったら拍子抜けじゃな!どれどれ、見てやろ…う…?あれ、おかしいなぁ。あれれれ?」
「どうぞ、
「あの人…って誰ですか、誰が来るのです!まさかとは思いますが…」
「ええ、この神域の主人ですよ。まさか何もないのですか?人のステータスを見て、何もないとか…」
「そそ、それはですね…。私はエルフの女王を務めている者で御座います。どうか命だけは、御助けを…」
「太郎、修練は終わりましたか!出来れば早く手料理を食べたいのですが、まだ居るのです…か…?」
エルフの女王が歯を震えさせながら、自己紹介と命乞いをする最中に、女神カノンが入ってきた。カノンが入って来る前は笑顔で向かって来ていたのだが、カノンが入るなり場が凍り付いた。実際は凍った訳では無いのだが…女神カノンの表情が暗くなり、竜王とエルフの女王は
「カノン。今から作るけど、ちょっと手伝ってくれると嬉しいんだけど?忙しいなら、別に無理しなくても良いよ?」
「いいえ、大丈夫です!ご飯の用意しといてください。すぐに参りますから。」
「了解。あっそれと手加減してね、しなかったら飯抜きだよ?」
「はっ、はい!お任せを…。お前たち、私は女神をしてるカノンって言います。太郎殿にした事は分かっています、無事で済めると思わない事です(ボソッ)。」
「「ひっ」」
そして数分の間に部屋から奇声や悲鳴が聞こえたが、出てきたカノンは笑っていた。背後の竜王と女王は
食事が終えると、2人の現状が再び思い起こしたのか、カノンの不機嫌な顔を見たからか、頭を下げてきた。そこで竜王には『シュリアス』と、女王には『エリス』と名付けた。その名付けと同時に契約が完了した。ステータス欄にも、召喚の一覧に追加されていた。そのステータスがコレだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
井沢 太郎 男 12歳
職業:召喚士Lv9、創造魔法使いLv14
体力:200 → 1200
魔力:900 → EX
攻撃:50 → 2050(+500(レベルアップ毎に任意で加算))
防御:260 → 900
運:EX
ユニークスキル:成長倍率化、勇者転生、召喚、降臨
スキル:魔力増加(大)、異常耐性無効(病気、毒、怪我を即回復)、他・召喚士特有スキル(26)、ステータス
召喚:竜王(シュリアス)、森の女王(エリス)
称号:勇者召喚に巻き込まれし者、転生、神に抗う者、神に愛される者、神の怒りを受け流す者、召喚士、世界創造者、賢者(仮)、□□之神、竜王の
未加算ポイント:不明
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さて、シュリアスとエリスと契約できたし、修練も終わったな。カノン、ここに料理を送りたいんだが、現界からは無理か?」
「え?えっと一応はできますよ。ただ2通りありまして、教会を介して送る方法と、なんでも良いので祭壇を作って、この魔法陣を描いて置いてくれれば多少の魔力で送れますよ?ただ念話は私が魔力を制御出来れば、繋げられるのですが…」
「なら、頑張ってくれ。儂…俺も、たまには声が聞きたいからな。」
「…はい、頑張ります!それでは、こちらの魔法陣に乗ってください。これで下界に降りれます!」
カノンは微笑んで魔法陣に案内してくれる。そこで呪いについて思い出し、足を止める。それに伴ってシュリアスとエリスとカノンも立ち止まる。
「シュリアス、エリス、悪いが先に行っといてくれ。ちょっとカノンに話がある。」
「「御意に。」」
「太郎さん?その歳から皺を付けると、将来が大変ですよ?」
「カノン、勇者に掛けた呪いは俺にも付いているな?」
「はい、付いておりますが。あっ、付けてから外すことは出来ませんよ?何か不都合がありましたか?」
「カノンは、呪いは『魔王が世界から居なくなるまで』という条件だったな?」
「はい、そうですよ?」
「その条件、いつになったら切れるんだ?魔王というものは倒しても、また数百年後に生まれるから、その度に勇者一同と俺は転生するだろう。次から呪いをかける時は、条件を変えておけよ?」
「えっ!?もしかして、死に戻りが永遠に続くのですか!あの呪い、失敗なのですね…」
「まぁまた会えるんだから、あまり思い悩むなよ?」
「ですが、この世界に縛ってしまいました。私は女神失格ですね。」
「俺たち以外で気を付ければ良いさ。元はと言えば、アイツらが魔王を倒せなかったから起きた事だしな!」
「はい…」
「んじゃ、メソメソするな。前を向いて進もう。笑って送り出してくれや、女神様。」
「ぁぁぁ…ありがとうございます!」
それから女神カノンが見守る中、俺、シュリアス、エリスの3人は下界へと降りたのだった。
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