僕の彼女の愛が重たい件について

さとすみれ

1話完結

 僕の彼女は僕に対して愛が重たい。ないよりかはマシだが、他の人よりすごい重い。


 ……ン。ピコン。ピコン。ピコン。

軽快なLINEの音で僕は起きた。スマホの画面を見てみる。するとそこには四件LINEが来ていた。

「ねぇ〜宏輝こうきくん〜」

「昨日ね宏輝くんと別れる夢見たんだ〜」

「私たち別れないよね」

「ずっと一緒だよ」

朝から愛の重たいLINE。既読をつけようかと思ったが、大変そうなので見ないで、そのまま友達の飯塚に電話をかけた。

「よぉ、今暇か」

「お前、彼女はどうしたぁ」

「いや、朝からLINE来たけど、ちょっとめんどかったから、スルーしてる」

「やめとけよー。今からどうせ……」

ピコン。―――ピコン。ピコン。

「ほらな。かまってあげな」

「はぁ……」

「お前彼女のこと嫌いになったのか」

「いや好きだけど……愛が重たいすぎて……」

「お前そういう奴が好きだから付き合ったんだろ。ないよりかはマシだ。じゃーな」

「えっ、ちょっと」

ツ――ツ――ツ――。

はぁ……返してあげるか……。

トーク画面を開くとそこにはメッセージが九件。

「ねぇ〜宏輝くん〜」

「昨日ね宏輝くんと別れる夢見たんだ〜」

「私たち別れないよね」

「ずっと一緒だよ」

「ねぇちょっと〜」

(不在着信)

(不在着信)

「誰と喋ってるの〜」

「ねぇ〜」

あぁ、すごいLINE。僕は一言だけ返した。

「真由美とは別れないよ。飯塚と喋ってたんだ」

送った瞬間、秒で返信が来た。

「そうだよね!」

「不安になっちゃった」

「飯塚くんとのおしゃべりだったら許す!」

メッセージがそこで途切れたのを確認して僕は画面を閉じた。

「愛はないより重たい方がいい……か」

口に出してみる。僕の恋愛条件の一つ。愛が重たい方が愛されている感じがあっていい。

 ただ重すぎも重すぎでいやだな。

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