「好きだ。」と言えない


君の笑顔を見てると幸せを感じる。


人気のない公園で踊る君を見て

心に安らぎが広がる。


試着した帽子のつばから上目遣い。

「かわいい?」と問いかける君にドキドキする。


「バイバイ」

小さな手を振る君を抱きしめたくて。



「あたしのどこが好き?」問いかける君に

「でんぶ」照れ隠し。こんな言葉で答える

「そっかーおしりかー。」二人で笑って。


さっきまでさんざん文句を言っていたのに、

突然 僕に向き直って

「ねぇ、あたしのこと好き?」と問いかける君。

グラスに視線を落として「好きだよ。」と答えても。


背中から抱きしめた君の耳元で「好きだよ。」とささやいても。


君の髪をなでながら、「好きだよ。」と囁いても。



車が好き。旅行が好き。映画が好き。釣りが好き。小説が好き。犬が好き。カメラが好き。洋服が好き。絵が好き。オカルトが好き。子供が好き。

世の中に”好き”はたくさんあっても、僕が君を思う気持ちとは違う。


その他大勢の“好き”と一括りに出来ない想い。


僕の中でこの言葉じゃない。そう思うから。

君に嘘はつきたくないから。


だから

君のを見て「好きだ。」と言えない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る