1つのチョコから

イチゴミルク

第1個 チョコが0?

 バレンタインなんてクソ喰らえだ。

 皆はバレンタインを知っているだろう。

 バレンタインとは、カップルが愛を祝う日と言われている。

 だが、今の現代はどうだろう?

 女子友達同士で渡したり、義理チョコと言った友達に渡したりと、逆に本命と言われるチョコを渡す事は無くなっているのではないだろうか?

 では、このイベントは要らないのではないか?

 友達があんまいない。

 彼女がいない。

 そういう陰キャにとってこのイベントになんの意味がある?

 ってかさ?

 イベントで付き合うヤツらってその場の空気に酔って付き合ってるわけですぐ別れると思うんだよな。

 よってバレンタインデーは。

 「クソイベントだ」

 「お前はいきなり何を言ってる?」

 今、俺は友達と下校途中だ。

 「思わないか!高岸!」

 「なにがだよ」

 「陰キャにとってバレンタインデーなんて要らないよな!」

 「いや、知らんし」

 「そうだよな…。お前は彼女いるからいいよな」

 「あーもー。うるさいな」

 「はぁ…。そう言えばお前はチョコ貰えたのか?」

 「あ?4個貰えたけど、いおりはどうなんだ?」

 は?どうしてだ。

 え?彼女いるんだからこれ浮気じゃね?

 はい、こいつ浮気。

 え?俺は何個だって?

 0個に決まってんじゃん!

 お前も0だと思ったんだけど?

 一緒にバレンタイン撲滅クラブ作る気満々だったんだけど!?

 「お、俺?1個貰えたよ」

 「ほへぇ〜。まぁ流石に1個は貰えるよな」

 うん。胸がクソ痛い。

 「まぁ、バレンタインなんてただの平日だと思えばいいさ」

 「そ、そ、そうだな」

 「んじゃ、また明日」

 「おう。じゃあな」

 ふー。マジで胸が痛い。

 え、やっぱり1個も貰えない俺って?

 え?そんなに俺嫌われてるん?

 すごい悲しいけど。

 歩いていると目の前にナンパしてる男子とナンパされている女子がいた。

 「なぁー?姉ちゃん?少し俺と遊ぼうぜ?」

 「い、嫌です!」

 「少しくらい良いじゃないか〜」

 「や、やめて!」

 うわぁ〜。あんな人ホントにいるんだ。

 ってかあの人絶対チョコ貰えないよ。

 もう俺の頭はバレンタインに洗脳されていた。

 あの人も嫌われるタイプだよ。

 絶対バレンタインの日に限って女性と多く話すタイプだよ。

 それで貰えない時は1人で勝手にイラついてるタイプだ。

 絶対そうだよ。

 うわ〜。あれと同じか〜。

 いや、待てよ?

 性格は嫌いだが、一緒にバレンタイン撲滅クラブを設立してこの世からバレンタインを無くせばいいのではないか?

 お?これよくね?

 「ん?お前何見とんねん」

 「一緒にバレンタイン撲滅クラブを設立しませんか?」

 我ながら何を言ってるんだ。

 「何言ってんねんてめぇ〜」

 「いや、貴方絶対チョコ貰えないタイプの人ですよね?」

 「いや、貰えるわ!」

 「嘘つかないでください!大丈夫です!俺らは仲間だ!一緒にバレンタイン撲滅クラブを作ってこの世からバレンタインデーなど無くしましょー!」

 「なんやこいつ頭イカレてるんか」

 「まずは2人ですがどんどんと人を増やして!」

 「うるせぇ!痛い目見ねぇーとわかんねぇーみたいだな!今の状況を!」

 あ?俺に喧嘩売ってるのか?

 へぇ〜。この俺にね。

 「へぇ〜。俺に勝てるとでも?」

 「ほぉ〜?あんたもやれるんか?」

 「見くびっちゃ困るな。俺に喧嘩売ると痛い目見るぞ?」

 「誰がや?」

 俺は少し余裕の表情を出し。

 拳を強く握って

 少し空を見て

 思いっきりそのナンパ師に向かって走りながら

 「この俺だ〜!」

 〜5分後〜

 「なんやコイツあんなに言ってたのにこんな雑魚とはな」

 まぁですよね。喧嘩なんてしたことないし。

 結果はもちろん俺の敗北。

 文句無しの敗北。

 もう開始2秒でボコボコです。

 「もういい。人殴って気分が晴れたぜ」

 そのまま彼はどっかに去ってしまった。

 まぁ、女子を救えたから良しとするか。

 「いてて」

 俺は寝転びながら空を見ていた。

 そしたら女子が俺の事を見ていた。

 「助けてくれてありがとうございます」

 「あはは、いえいえ」

 めっちゃカッコ悪かったよな。

 「え、えと。余りでいいなら私が作ったチョコ入ります?」

 ん?

 「い、今なんて?」

 「私が作ったチョコ入ります?」

 「い、入ります!でもなんで?」

 「助けてくれたお礼です」

 はい、と俺に渡してくれた。

 「では、帰りますね。ありがとうございました!」

 彼女はそのまま去っていった。

 チョコ貰えて人助けできたから良かったな。

 そう思っていたらさっきの子がこっちを向いた。

 ん?どしたんだろ?

 「あのー!」

 彼女はニコッと笑い

 「とてもかっこよかったですよー!」

 それだけ言い彼女は去っていった。

 かっこよかった?

 俺が?

 俺はすぐに携帯を取りある奴に電話をかけた。

 「はい?もしもし?」

 「おい!聞いてくれ高岸!」

 「なんだよ」

 「俺さっきチョコ貰ったんだよ!」

 「ほう?それは良かったな」

 「それにな!」

 俺は電話越しでも伝わるくらい元気な声で。

 「俺は今日かっこいいヒーローになったんだ!」

 バレンタインデーは嫌いだがたまにはこういうのもありだな。

   

                                  続く?

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