追慕

クエンさん

プロローグ

プロローグ


 親愛なる君へ。

 なんて、堅苦しいけれど。結局さ、君と名前を言い合える関係にはなれなかったね。少し残念だけど、君の事が嫌いだった訳じゃないよ。

 きっとこれから君が生きる世界は複雑で、白黒で割り切れない事も多いかもしれない。けど君なら大丈夫。だって君は優しいけれど、ちゃんと自分を大切にできる人だから。

 私は自分を曲げることの出来ない人だった。本当はこのお金で君と一緒に逃げる事も考えてたけどさ、やっぱり私には出来ないや。

 君には幸せになってほしい。

 それが私にわがまま。


 さよなら、大好きだよ。

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