介護職だって弱音を吐きます

命の選択「心が折れそう」 コロナ患者急増の兵庫 医療現場から悲鳴

https://mainichi.jp/articles/20210425/k00/00m/040/037000c


先日、このような記事が載りました。これに対しネットでは猛烈なバッシングが起きました。

目的語は何だと思います?

政府?自治体?医療崩壊を招いた厚労省?

どれも違います。

正解は「現場の医療介護関係者」です。


こんなコメントがありました、


①「現場の従事者が心折れるなんていうな!」

②「嫌なら辞めてしまえ!」

③「文句言いながらしがみつくのは社畜だよね!」

信じられません。

感染リスクを避けるためにGOTOトラベルやイートを我慢しているのに、自分たちが納税したお金は医療関係者以外が飲み食い遊び歩くために使われている。

不公平感を使命感でどうにかなだめつつ過酷な仕事をこなしているのに、このいわれよう。

誰だってモチベーションが下がります。


①を言ってる人は医療ドラマの見過ぎですね。そう都合よいタイミングで心を奮い立たせるような感動ポルノなんか起きませんよ。ただただ患者や利用者を想いケアするだけです。次から次へと処置に追われへとへとになりながら記録用紙を書いたりカンファレンスに参加したりしている状況に喜びだの感動だの入り込む余地はないです。

私はある先輩から初日にこんなことを言われたのです。

「医療介護の現場はドラマみたいに

いちいち患者や利用者に”こちらから”感情移入していたら精神が持たない。むしろ逆に暴言や暴力の耐性を試される」

実際に本人や利用者家族から保険サービス適用外の理不尽な要求や人種差別的な暴言を吐かれること、セクハラや叩かれる蹴られるなどの暴力は茶飯事です。


それでメンタルを病んで辞めていく人が多い。

チームバチスタのナントカなんておとぎ話ですわ。

②や③も理解が足りない。

高給のためや承認欲求を満たすという虚栄心でやっていたら長続きしない。

強迫観念に近い使命感で仕事をしている。

誰かがやらなければならないのです。

自分や家族が万一の場合、医療が壊滅していて治療が受けられなくなったらどうするのか。誰かがやらなければならないのだけど、他力本願にしたら自分にブーメランが刺さる。

しかし医療介護従事者はレベル∞の異世界転生勇者ではありませんから疲弊します。

少しでも働きやすいように処遇改善を求める。

当たり前の欲求です。

ところが声をあげたら

「文句ばっかり!」

「被害者ヅラするな」

「俺達の税金をむしり取ろうというのだろう」

「”弱者様”が社会を破壊しようと企んでいる」

「あいつら現場関係者はロクに働きもせず結果だけ求める。共産主義者だ!」

「工夫や努力しようという考えがない。何かといえば不足不足、金金だ!」

「心は意地汚い偽善者だ」


こういう批判を受けます。無茶苦茶です。

ネットにはアクセスを煽って広告収入を稼ごうという悪質なコンテンツが紛れています。ただ、それを自演と知らなかったり、マジレスしてしまう人がいて現実世界に降りてくるのです。

最近では高齢者もスマホを使いこなしています。

「あんたら偽善者だよね」「文句垂れの集団だよね」

こんなことを直に言われたら心が折れます。

困ったことに「そうじゃない」と反論しても

「だってネットに書いてあったよ。テレビや専門家のいうことはウソだよ」

こういわれたらどうしようもない。

心は折れて当たり前です。

そして、完全にとどめを刺すパワーワードがある。

「御託並べてる暇があったらコロナをどうにかしてよ。」


これ言われたらさすがに私は耐えられません。

「すみません。今日付けでやめさせてください」って退職願を書きます。


なんか、愚痴だらけになってしまいましたが、これだけは言わせてください。


現場の人間だって弱音を吐いてもいいじゃない。

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