川沿いの踏切
春嵐
01 start & epilogue.
踏切。
川沿いの、通学路のところ。
ここへ来ると、いつも思い出す。彼のことを。彼と過ごした日々を。
思い出。綺麗で、こわれそうで、大切な記憶。
彼はいない。
ここには、わたししかいない。それを、いたいほど、感じる。それがいやで、あれからしばらくは、この踏切に来れなかった。
「もう行くね」
声をかけて、歩き出す。
彼に声をかけているのか、それとも踏切に語りかけているのか。わからなくて、ちょっとだけ、笑った。
電車が来る。
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