大丈夫じゃね?
呆然としている【聖母】サナをこっちの世界へと呼び戻した第三王女コッティ。そして、サナが正気に戻った事を確認すると、サナのスキルの能力について説明を始めた。
スキルの内容については次の通りである。
【肝っ玉母ちゃん】
勇者のパーティーに所属する事で、勇者と自分のの体力、魔力、攻撃力を倍増させる事が出来る。そして、勇者と愛する夫をぐいぐいと引っ張って行く力も得る。引っ張りすぎて、夫である【剣聖】を尻に敷きすぎる恐れあり。
【慈しみの心】
勇者の体力、魔力を自動的に回復させる。同時に甘やかしすぎる事もあり、注意が必要。
【怒髪天】
勇者や愛する夫がピンチの時に、自身のステータスを一時的に倍増させる。ひとつ間違えれば、
【夫への愛】
愛する夫である【剣聖】の体力を自動的に回復させる。しかし、夫である【剣聖】へとヤキモチも同時に加速させてしまう恐れあり。
【やりくり】
買い物する時に、店の店員さん達は無意識で二割引してくれる。ある意味、魅了。また、同時に夫である【剣聖】の小遣いも減らす事もあり、注意が必要。
「……取り敢えず勇者や【剣聖】カイトにとっても有意義なスキルだけど……だけどさっ、何?この愛する夫って?わ、わ、わ、わ、わ、私とカイトってそんな関係じゃないじゃないっ!!べ、べ、べ、別に好きでもないし……勇者は分かるけど……カイトには効果ないんじゃないっ?!」
自分のスキルの説明を受けたセナがあたふたとしながら、カイトを指差し叫ぶ様に言った。そんなセナの様子をミウは何故かきゃっきゃっと楽しそうに見ている。
「……ふぅ、もういい加減認めればいいのに……」
大きなため息をつくと、誰にも聞こえないくらいの小さな声でぼそりと呟いたコッティ。
「なら【剣聖】カイトのステータスも見てみましょ?」
やれやれといった調子で話しを続けるコッティは、ミウと同じ様にカイトの頭上に手をやると、ステータスを開示させた。
名前や性別、レベル、資格は以前と変わりない。しかし、そのステータス値がかなり上昇している。レベルに見あっていない値なのである。それには当の本人であるカイトも驚きを隠せず、ぽかんとだらしなく口を開けている。
いつもはそんな表情を見せないカイトの姿に、サナは思わずふふふっと笑ってしまった。
そのサナに気が付いたのか、バツの悪そうな顔で苦笑いをして誤魔化すカイト。
「いや、最近はレベル上げもしていないのに自分の数値がかなり上がっているのに驚いてね……上がったと言うより、倍以上になってるよ。これは【聖母】であり妻としてのサナのスキル効果なんだろうね」
妻としての……そのカイトの言葉にサナは自分の顔が一緒で燃える様な熱さを持った事を感じた。
「あわわわわっ!!『妻として』って?!あわわわわっ!!『妻として』って?!あわわわわっ!!『妻として』って……な、な、な、な、なにいっちゃってんのっ、カイト。私たち、ついこないだ一緒に住み始めただけで……ほ、ほ、ほ、ほら、え、え、え、えっちどころか、て、て、手さえ握った事もないのにつ、つ、妻だなんて……ま、ま、ま、ま、まだ早いわよっ!!」
真っ赤になって頭から煙を出して変な動きをしているサナ。そんな彼女の意味不明な言葉をその場にいる皆はスルーし、もう一度、カイトのステータスに視線を戻した。
「やっぱり、僕のスキルも変わってるね」
カイトは自分のスキル一覧に目をやり、一つ一つをじっくりと眺めている。しかし、勇者やサナ同様、アカデミーでも見た事も聞いた事もないスキルばかりである。
【子煩悩】【大黒柱】【雷オヤジ】【尻に敷かれる】【愛羅武勇】
スキルを眺めているカイトにコッティが、そのスキルの説明を始めた。しかし、ここには記さない事にしよう。なぜなら、作者が少し、少しだけ面倒くさいと思ったり、思ったりしたからだ。
ただ、一つだけ言えるのは、【勇者】【聖母】【剣聖】の三人が互いのスキルでステータス値を高め合っている事で、赤ちゃんである【勇者】に、もともと強かった【聖母】に【剣聖】も、ほぼ無敵状態になっている。
一歩離れたところから皆の様子を見ていた【賢者】キラは思った。
『私、魔王退治行かなくても大丈夫じゃね?』
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