足りなかったパーツ

勝利だギューちゃん

第1話

「これでしょ?君が探していたパーツ」


彼女から差し出された。

彼女とは文字通りの意味で、恋人ではない。


同い年くらいだが、お互い名前は知らない。

いつも、公園で会ううちに会話をするようになった。


互いに名前は、名乗らないようにした。


「うん。確かにこれだよ。これで完成する。」

「それは、よかった」

「で、どこにあったの?」

「内緒」


彼女は、いたずらっぽく、人差し指を唇に当てる。


僕の心の中で、組み立ててあるもの・・・

自力でパーツは集めている。


でも、ひとりでは限界がある。

どうしても、他人の力は必要になる。


そのなかのひとりが、彼女だった。


「君は、何を作ってるの?」

彼女に問われた。

「何だと思う?」

「当ててあげる・・・でしょ?」

「正解」


出会ったから、話をするようになって、

わかるようになったのか・・・


「私も手伝ってあげるね」

「ありがとう」


でも、そう簡単には手に入らない。

なので、期待はしていなかった。


だが次の日に、見つけたよと、差し出された。


「どうして、わかったの?」

「君は私だから・・・」


探しいたパーツ。

それは、ハチマキ。


そう、二人三脚の時に使う。


「これで、一緒だね」

「うん」

「これからは、家族だね」

「うん」


そこで、初めて彼女の名前を知る。

不思議だ・・・


「私は、まあや。君は?」

「僕は・・・」

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足りなかったパーツ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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