(三)-12

 帰宅途中、深夜にも営業している黄色い看板のうどんチェーン店の駐車場に車を停めると、車の中から電話をかけた。

 相手が出ると正義は「俺だ」と短くスマートフォンに言った。

「夜中にすまん。うちの組員が一人やられただろう」

「何で知っているんですか」

 低い男性の声でスマートフォンが答えた。

宮浜龍太が帰ってきて、俺を探している」

「宮浜龍太が?」

「そうだ。次にヤツにあったら日曜の夜に採石場に来いと伝えろ」

「わかりました。みんなに伝えます」

 その言葉を聞くと、正義は電話を切った。これで良し。次の被害者が出る可能性はあるが、これで何人も襲われたりせずに済む。そうして宮浜をおびき寄せることができる。

 そして正義は車を発進させた。


(続く)

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