第49話 49って超素敵な数字だから

 なんとこのエッセイ、なんだかんだで第49話ですって。思った以上に長く続いて、しかも読んでいただけて、感謝感謝です。

 今回はこの話数にちなんで、49についてのエピソードをお話しようかと。何と今これを執筆しているPCの充電まで、49%ですよ。PCにまで「早く49の話を書け」と急かされているようです。


 早速ですが、どの国でも忌み嫌われる数字ってありますよね。西洋なら13は不吉な数字とされています。

 日本では4(死)と9(苦)が不吉な数字として有名ですよね。ホテルの部屋番号や病院の病室番号では、こうした数字を避ける傾向にあります。



 小学校の時、移動教室という、中高でいう修学旅行のようなものがありました。林間学校と呼ぶ地域もあるかもです。

 この移動教室も修学旅行と同様、学びを主目的としているわけですが、やはりレクなど遊びの時間も用意されていました。その1つが、肝試し。

 夏だか初秋だかの時期に、宿泊所の中(屋内)で実施されました。


 ただ私ね、極度のビビリなんですよ。

 ホラー短編とか書いてますけど、私のホラー作品ってお化け出てこないんですよ。ラブコメではお化け的なの出してますけど、そんな怖いキャラにはしてません。なぜかというと、作者本人がお化け怖すぎて書けないからです。笑

 もうお化け屋敷とか苦手で苦手で。昔テーマパークにて大人数でお化け屋敷入ったんですけど、貞子が井戸から出てきた瞬間に腰抜かして、1人でセットを派手にぶっ壊したことがあるくらい苦手です。


 だから肝試しなんて本当に嫌でした。直前のキャンプファイヤーで楽しんでた気持ちを返して欲しいくらい。笑

 で、一学年120人くらいが最初の待機室である体育館に集合して。するとスピーカーから、おどろおどろしい音楽と共に、校長先生のドスの効いた声が聞こえてきたのです。


「くじを引いて、同じ番号の人間と2人組になれ」と。


 男女別々のくじが回され、順に引いて行きました。私がくじを開くとそこには——


「げっ、49」


 赤い49の数字が。

 私は男子と話すことが多く、すぐに男子達が寄ってきました。


「え、水無月お前49引いたの? うわぁ運悪りぃなぁお前!」

「そ、そんな」

「はい、せーの、「「「水無月4んで9る、4んで9る!」」」」

「黙れよお前ら」←当時の水無月は時々ヤンクミみたいな口調でした


 男子のヤジに毒を吐きつつ、内心は(やっぱり49なんて不吉だよね……)と怯える乙女心。

 こうなると大事なのは、黒い49のくじを持った相手の存在です。

 ヤジを飛ばした中に49はいません。どこに、どこに黒い49はいるの? 相手によっては本当に私死ぬかもしれないじゃん(失礼)。


「あれ、お前49なの? 水無月と一緒じゃん」


 そう言われていた男子は——


(えっ、Aくん?!)


 何と、私が淡い恋心を寄せていたAくんだったのです(『下校は大冒険』参照)。

 私の想いを知らないおちゃらけ男子達はさらにヤジを飛ばします。


「水無月とAは死んでくる、水無月とAは死んでくる!」


 体育館にいた担任から、同じ数字のペアごとに並ぶよう言われ、私はAくんの隣に座りました。


(Aくんがペアなら死んでもいいわ……)


 ビビりながらそう思っていると、いよいよ肝試しがスタート。番号1のペアから進み始めました。

 ペアは確か全て男女で、暗くて危ないので手を繋ぐよう先生達に言われていました。でも小学生とはいえ、高学年。互いの交錯する恋模様とか思春期とか色々あって、多くは先生の前でだけ繋いだり、小指だけ絡ませたりしていました。


 いよいよ49番ペアの番が近づいてきました。


「じゃあ、いってらっしゃい」


 担任に見送られる時はAくんの方から手を繋いでくれました。私は不安でした。先生の目がなくなったら、手が離れちゃうのかなって。


 しかし!


 真っ暗になっても、Aくんは手を繋ぎ続けてくれたのです! しかも、さっきより強く。


 肝試し中はいくつかの部屋に入り、合計3つのお札を獲得しないとゴールできない決まりでした。

 Aくんはビビりまくる私を時々からかいつつ、手を繋いだままお札を取り、ゴールまで連れて行ってくれました。頼れる相手でした。

 でもAくんもそれなりにビビってたから、繋いでる手にも少しずつ熱がこもってて、それが何だか嬉しくて。


 無事にゴールした私達。さすがにゴールしたら、Aくんは手を離し、彼の仲良しグループの所へ去って行きました。

 私の所には先程ヤジを飛ばしていた男子達や、私の親友がやって来ました。


「水無月、死んだか?」

「やぎ、大丈夫だった?」


 私は笑顔で答えました。


「うん、死んだよ」って。


 鈍感な男子達には、ノリが良い回答だと思われていました。「やっぱ49は4んで9るんだー!」とかアホなこと言ってましたから。笑

 でももちろん、そんな意味じゃありません。



 のです。



 多分、肝試し中にキャーキャー叫んでるくせにニヤニヤしてたの、私だけだったと思います。笑



 だから私は、49って数字は嫌いじゃありません。むしろ甘酸っぱい思い出の詰まった、超素敵な数字です!


 本当にただのウダウダな恋バナになりましたすみません!笑




 またいつか、こんな恋したいわぁ(遠い目)。

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