棄てられたアルビノ少女はドラゴンに溺愛される
栗原猫
第1話
その日ある村に少女は産声をあげた。
彼女を取り出した産婆は恐ろしげに顔を歪める。
「……呪われている……?」
これ迄長くお産に携わってきたが、こんな異形の子供を取り上げたのは初めてである。人の形をしてはいるが、皮膚の色は薄く、髪は老婆の如く真っ白……。戸惑う産婆に、母親が声をかけた。
「私の赤ちゃん……?」
産婆は慌てて子供を母親の隣に置いた。泣き声を上げる赤子の頬を母親は愛おしそうに指で撫でた。
「無事に生まれて良かった……。」
安心した様に微笑む母親に産婆はホッと息を吐いた。異形でも母親に取っては腹を痛めて産んだ子供、どうやら愛しいらしい。
とりあえず後の処理をし、部屋を出ると、外で待つ父親に声をかけた。
「無事に産まれた……。女の子じゃよ。」
それを聞いて安堵する父親。
「……じゃが……。」
言い淀む産婆に、父親は首を傾げた。
「……少し見た目が変わっておる。」
父親の目が大きく見開かれ、慌てて部屋に入っていった。
産婆は、それを見送ると溜息をついて帰途に着いた。父親はそれでも可愛い娘だと、愛してくれるのだろうか……?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「キリエ……?」
父親が母親の名前を呼んだ。
「あなた……。」
母親が微笑む。無事に出産が終わって安堵したのと、産後の疲労がピークを迎えたのだろう、少し朦朧としている。
「私たちの娘です……。」
隣に寝ている赤子の方に顔を向けた。
父親は恐る恐る子供を見る……。透き通る肌に白い髪……。
父親はその場に凍りついた。
「?」
母親がその様子に首を傾げる。
「……こんなの私の子じゃない……。」
父親の呟きに母親は目を丸くした。
「そんなバカな……。」
父親は子供を睨みつけると呆然としている母親を置いて部屋を出て行ったのだった。
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