(四)-3(終)
でも、僕にはそんなものはなかった。ピアノはもう弾きたくない。これ以上はもう無理だ。だからといって、自分が何をしたいかなんていうこともない。音楽教室は昔から通っているから行っているだけだし、学校だって同じだ。何のために今まで生きてきたのか。親のためにピアニストになるため? それって生きているといえるのか……。
空の色はもはやブルーベリージャムよりも濃くなっていた。
僕には才能がなかったのだ。もう終わりにしよう。全てを終わりにしたい。もうたくさんだ。もう十分だ。これ以上は意味がない。
僕は柵を乗り越えて屋上の縁の部分に立った。そして、僕は、闇夜にまぶしく輝く光の海へと飛び込んだ。この後きっと、僕の目の前で徐々に大きくなってきている地面に、僕の肉片と血しぶきの花が咲くことになるだろう。
(了)
まぶしく輝く光の海へ 筑紫榛名@5/19文フリ東京【あ-20】 @HarunaTsukushi
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