第33話 リモート大回り乗車(15)栃木-小山
総裁 立派な高架の線路を上って、東武日光線と合流して栃木駅に着きます。ここらへんの大きめの都市の駅はみんな立体交差の高架駅になってます。東武線は特急「けごん」「きぬ」「リバティ」「きりふり」「日光」「きぬがわ」などが発着します。また「日光」「きぬがわ」はJR線直通でここから新宿に向かうことが出来ます。
ユリ あれっ、ここから新宿に行けるならアニメ「秒速5センチメートル」の話は!
総裁 あの話の舞台は1995年。東武JRが栗橋で直通するのは2006年。湘南新宿ラインは2001年からだから、まだどっちも使えないルートなのよ。
もし東武栃木経由だと『スペーシアきぬがわ』7号で新宿17時32分発、栃木に18時47分、そこから両毛線に乗り換えると18時42分発を乗り逃がすのでその次が19時12分発で岩舟19時21分でアウト…。
新宿からだったら大宮から小山まで新幹線課金する手もあった。新宿から湘南新宿ラインで大宮まで30分、大宮から小山まで16分、小山から20分で岩舟に行ける!
新幹線課金なくても大宮から小山が40分になるだけ。湘南新宿ラインめちゃ有能!!
ユリ そうですよね……。でも1995年じゃ、まだない……。
総裁 世の中が確実に便利になってるところだよね。選択肢が増える。でも現実にはいろんな名前がついてるけど同じ線路を共有してるから、アニメみたいな支障起きるとかえって混乱が拡大することもある。新幹線は建設規格の段階で災害に強いけど。
香子 そうなんですね!!
総裁 ……たしかに香子ちゃんの反応、いいよね。
忍 でしょ!!
総裁 そんなことを感じながら列車は栃木駅を離れていきます。東武日光線の大きな高架をくぐって、また単線でまっすぐな線路を走ります。道路が高架でまたいでいく下をずーっと走り続けます。地形もまたずーっと真っ平らで眠くなる……。
恋海 また寝る?
総裁 でもなんとか起きていたいなあ。
ユリ じゃあ、眠気覚ましにゲームでもしませんか!
忍 ええっ!
総裁 鉄道観察が目的の大回り乗車だから、本末転倒だけどね……でも眠くなる……。そうしているうちに巨大な高圧鉄塔がそびえる平地に島式ホームの思川駅。さらにそこからまっすぐの線路が続きます。うう、眠い……。
香子 総裁がんばって!
総裁 コンクリートの立派な部分とクラシカルな鉄橋で思川を渡り、雑木林の谷間を抜けると巨大な効果が見えてきます。東北新幹線です。その高架をいったんくぐって両毛線のホームは高架の下に作られています。
恋海 小山に着く! 降りるのよね!
総裁 はい、降ります。荷物まとめて乗り換えますよー。
小山に着きました!
香子 着いたねー!
忍 なんか涙でそう。
恋海 ただ家にいるだけなのに、なんだろうこの気持ち。
ユリ 旅してる気分!
静 ……不思議。
総裁 小山駅の8番線に到着します。この小山駅、両毛線は6番と8番を使うんですが、7番線は線路も撤去され案内もなくなった欠番になってます。
恋海 なにか妄想がはかどりそう。幻の列車が発着するホームみたいに。
ユリ 「ハリーポッター」のキングス・クロス駅の「9と3/4番線」だね!
香子 空想がかき立てられますね。
総裁 昔はこの小山駅7番線、郵便荷物列車が発着してたんですよー。
忍 確かにそれははかどる。
総裁 他にも小山駅は楽しいですよ。
静 ……この街路、なんだろう。変電所のあたりから妙なカーブ描いて北に出てって、東に向かって伸びてるのがある。
忍 え、どれどれ?
静 ……これ。
総裁 そう、静ちゃんさすが。その道はもともと高岳(たかおか)製作所の専用線。高岳製作所は東京電力系の電気機器メーカーで、巨大な変圧器を出荷するのにその専用線を使っていたんです。戦時中は弾薬も運んでいたそうです。今でも2カ月に1度程度に大型変圧器の発送列車が通っているそうです。
香子 ええっ、こんなヘロヘロの線路でも現役なんですか!
総裁 ええ。そのうえこの線路にLRT走らせる構想が市から提案されたりしてるそうです。でも小山駅でのコンテナ貨物扱いはなくなってしまったんですよ。ほかにもちょっと離れたところに東北新幹線の小山新幹線車両センターがあったり、小山機関区があったりと歴史がいろいろあるんです。でも小山遊園地は2005年に閉園してる。一部の施設はそれでも大型商業施設として残ってるけど。
恋海 その小山遊園地のコマーシャル、なんで私も覚えてるのよ……。
静 ……そういうところが「鉄研でいず!」七不思議の一つ……。
忍 それはそうかもしんないよね。
ユリ そうかもしんないじゃないです! メタ過ぎます!!
忍 メタ記述は「鉄研でいず!」の特徴☆
ユリ 忍ちゃんもメタい方向に広げないでください!
総裁 ……。
忍 なに総裁また嬉しそうにしてるのよ!
総裁 いやー、ほんとに鉄研らしくなったなー、って。それもエビコー鉄研に負けない鉄研になれた気がする。
忍 え、そういうところなの?
総裁 これもまたそうよ。ずっとこういうのやってみたかった!
香子 鉄研ってこういうところなんですね!
忍 ええっ! そんなわけないから! 普通の鉄研はもっと真面目だから!
恋海 そうよねえ。それに普通の鉄研にはそもそも女子少ないし。
静 ……鉄道模型コンテストだと女子を入れるために鉄研の看板下ろせ! って指導者さんもいる……。
忍 あれも過激な意見だと思うけど、その指導であの高校、連戦連勝だもんね。
香子 えっ、エビコーさんよりも!?
忍 そう。
総裁 そんなこんなでこの小山駅で水戸線に乗り換えます。ここから水戸線の旅が始まります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます