(三)-7

 もちろん他にもうちの学校の運動部の生徒が、私がここに来る前からいて、そいつが飛び降りたという可能性もある。でもその場合、なぜこのビルにうちの学校の生徒がいるか、理由がそもそも見当たらなかった。だからここにいるのは木下ということになる。

 しかもその木下は、頭から血を流していて、ピクりとも動いていなかった。死んでしまったのかもしれない。

 死んでしまったのかもしれない。

 死んでしまったのかもしれない。

 そのことに、その重大さに気がつくと、私はその場でへたり込んでしまった。足から力が抜けて、動けなくなった。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る