第22話


 その後、俺はギルドに顔を出していた。幼女二人を連れて。


「おい、あれセロ様だよな」

「この街に来てるってマジだったのか」

「しかしパーティーはどうしたんだろうな?」

「まさか、ロリコンがばれて追放されたとか?」


 おい、最後の奴は名乗りを上げろ。


「どこぞのロリコンのせいでやけに視線を感じるのう……」

「いや、幼女がここにいるのが珍しいからだろうが。そもそも何のためについてきたんだよ」


 本来なら俺一人で来るつもりだったのだが、インフェルノちゃんもウンディーネちゃんも頑なに俺から離れようとしないのだ。幼女になつかれるのは悪い気はしないが。


「わしは仕方なくじゃ。ディーネがついて行くというなら、一人だけ待機というわけにもいくまい」


 メデューサは頭数に含まれないらしい。


「たのしそー!」


 ウンディーネちゃんは相変わらずだった。


「セロ様。お待たせいたしました」


 そんな茶番劇をやっていたのも、ギルド長が来るまでの暇つぶしだった。

 ギルド長に個室に案内されると、聞き覚えしかない話が始まった。


「セロ様。いきなり本題で申し分けないのですが、龍の谷を通ってこの町まで来られたのですよね?」

「はい」

「我々が派遣した調査隊にもお会いしたと」

「はい」

「それでは、龍の谷で消えた魔力について、何か知っていることがあれば教えていただきたいのですが……」


 あ、こいつです。

 なんて言えるはずもないので、用意いていた嘘をつく。


「片方については、マジックナイツで討伐しました。相手は魔王軍幹部の神獣ベヒーモスです」

「なるほど。どうりですさまじい魔力だったわけですね……ところで、片方というのは?」

「はい?」


 いやいやいや、そんな。


「我々が消滅を確認できたのは一つだけだったのですが……」


 まさか。と思ってインフェルノちゃんに視線を送る。


「わしがそんなヘマをするはずがあるまい。留守対策は万全じゃぞ?」

「言えよ!」


 反射的に叫んでしまう。


「あのー……」


 まずい。非常にまずい。

 いや、ここはいっそ全部正直に話すか?別にインフェルノちゃんはお忍びってわけじゃないし別にバレても構わな───


「そやつは頭がおかしいのじゃ。大目に見てやってくれんか」


 インフェルノちゃんナイス助け舟!

 ───ってなるか!だーれが頭のおかしなロリコン野郎だよ!


「なるほど」


 なるほど。じゃねーよ!何納得してんだよ!


「ろりこーん」


 ウンディーネちゃん!?ウンディーネちゃんだけは信じてたのに!?


「なるほど」


 いやめちゃめちゃ納得してるし!


「そういうわけじゃ」

「かしこまりました。魔力の消滅は確認しているので、調査隊の報告が済み次第報酬をお渡します。マジックナイツ宛てでよろしいでしょうか」

「あ、はい」


 涙出てきた。やめようかな、この仕事。

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