(四)-2(完)

 もちろん滝沢は早朝に仕事に向かったわけではない。今頃は湖の底ですっかり冷たく、氷漬けになっているだろう。

 私は盛岡駅で在来線から新幹線に乗り換えた。流れる車窓の景色をぼんやり眺めた。今まで全て灰色に見えた町の景色はまだ色づいては見えなかった。それは車窓から見える景色に雪がかぶっているからかもしれない。きっとこれからは色鮮やかになってくるはずだ。そして私は、「仇、とったよ」と心の中で姉に報告をした。


(了)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

湖の底 筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36 @HarunaTsukushi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ