(三)-2

 コートはそのままにしてシャツなどのボタンを外していった。

「氷張っているけど、ここに入ればいいんだよな」

「氷はそんなに厚くないから、すぐ割れるはずよ」

 滝沢は「わかった」と言うと、コートを取って裸になった。そしてくしゃみをしながら、靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ去った。そして体を丸めながら釣り場の桟橋の縁に座り、足を凍った水面に降ろした。何回か足で氷面を踏みつけると、バリッと音がした。

 私は「さ、早く」と滝沢の背中を押した。


(続く)

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