(二)-10

 小学校に上がった姉は私をかわいがってくれた。私が高校に入学してすぐの頃に両親が事故で亡くなると、姉が私の面倒を見てくれた。働いて私を大学へと送り出してくれたのだった。私は高校卒業してすぐに就職して姉の負担を減らしたかったが、姉は大学へ行きなさいと強く勧めた。

 私はそんな姉の好意にずっと甘えさせてもらっていた。そんな尊敬できる、信頼できる姉が、結婚したのだ。これで姉は幸せになれると思っていた。しかも相手は、帝大法学部を卒業して戦略系の経営コンサルティング会社に勤めるエリートサラリーマンだった。優秀だし、年収も高い。だから姉は幸せな家庭を築けるはずであった。


(続く)

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