作者と行く異世界冒険録〜あの、頼むから黙ってて〜
砂漠の使徒
The son of braver (勇者の息子)
第1話 ここから始まる物語
さあ、今から冒険者登録を済ますためギルドに入らんとすこの少年こそは、伝説の勇者佐藤太朗とその妻シャロールの間に産まれた子供……。
「だー!!! うるせぇ!!!」
え、そう?
「そうだよ!」
「ベラベラしゃべんなよ!」
「人の頭の中で!」
でも、自己紹介がまだ終わってないよ。
名前くらい……。
「勝手にやってろ!」
「俺は今から登録してくるの!」
わかった、わかった。
ツンデレな彼は……。
「違う!」
あ、違うの?
まあ、とりあえず話を進めよう。
受付のお姉さんのもとに歩み寄る。
「冒険者登録をしたいんですけど」
受付のお姉さんは一旦奥に引っ込み紙を持ってくる。
「ここにあなたのお名前と住所をお書きください」
「わかった!」
少年は急いで名前を書く。
ただでさえ、字が汚いのに急ぐから……。
「悪かったな!」
なんとか汚い字を読み取ると、そこには「ブレサル」の文字が。
これこそが彼の名前である。
お父さんが勇敢に育ってほしいという願いから……。
「それでは、こちらに……」
おっと、ついていかないといけないよ。
「わーってるって!」
――――――――――――――――――――
ここはスキル測定の間。
大きな鏡の前に立つと、自分の持つスキルが浮かび上がってくる。
「へー……」
ちなみに、君のお父さんはここで自分のスキルに絶望してたよ。
「だって、『なし』だもんな〜」
わかる〜。
あ、ほら出てきたよ。
「あなたのスキルは……」
鏡を見ると、こんな文字が。
【communication with writer】
「なんだこれ?」
ふむ、当たり前だがそうなるか。
「知ってんのか?」
後で説明してあげるよ。
とりあえず今は適当に済ませちゃいな。
「おう」
「こんな……読めませんね」
「ちょっとギルドマスター呼んできますね!」
お姉さんがどこかへ走っていく。
……逃げちゃだめだよ。
「んなことするか!」
――――――――――――――――――――
「誰かと思えばブレサルじゃないか」
「お父さん!」
おっ、佐藤君はギルドマスターになってたのか!
「で、このスキルは……」
「珍しいな……この世界で英語とは」
カタカナ表記の外来語はあるけどね。
「確か直訳すると……」
「書き手との連絡……?」
まあ、私とお話できる能力だ。
「お話できる能力だってさ」
「誰とだ?」
佐藤君は首をかしげている。
「あの……こいつと!」
「どういうことだ?」
ブレサル、佐藤君にもっとわかりやすく説明しなさい。
「だから、どうやんのさ!」
えーと……。
物語の作者とお話できるって言っといて。
「物語の作者とお話できる……って言ってる」
「ブレサルには誰かの声……作者の声かな?」
「それが聞こえてるんだな?」
「うん」
あんまり私のことを話してほしくないんだけどね……。
物語の展開上……。
「でも、話してほしくないって」
「つまり、秘密のお友達みたいな?」
「そうかも?」
「でも、これはスキルなんだろ?」
「てことは、本当に誰かと?」
佐藤君は一人でぶつぶつ言いながら、考えている。
「お父さん、もう行っていい?」
「あ、ブレサルごめんな!」
「まあ、息子をよろしく頼むよ」
「作者さん!」
はいよー。
「あとブレサル、冒険者になったからって無理しちゃダメだぞ」
「うん!」
「お父さんは若いとき、死んでも……」
こりゃ長くなるぞ。
ブレサル、逃げちゃえよ。
「バイバーイ!」
「あ、こら!」
こうしてブレサルの冒険は……。
あ、冒険者カードを受付でもらっとけよ。
「忘れてた!」
こうして、ホントに始まりました。
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