第22話 犠牲者3人目:クソロンゲは100度死ぬ その4
「馬鹿な……馬鹿なっ! 神装機神が……っ! 生身に……っ! そんな……馬鹿なっ!」
「確かに、そのオモチャは良くできている。しかし――如何に良くできた武装であれ、中身がダメならどうにもならん」
そのまま、余は機神の上に降り立ち、クリートのコックピットに向けて歩みを進める。
「余にとっての貴様の神装機神は、子供が棒切れを振り回しているのと大差はない」
「まさか……お前は第7……いや、第八階梯に達していると!?」
クリートの問いには答えず、余は胸部装甲に向けて木切れを構えた。
「今から使うのは魔法ではない――ただの肉体言語だ」
アダマンタイトとオリハルコンの合金と思わしき、胸部装甲を木切れで刳り貫くように切り取る。
「熟練すれば、このように木切れでも特殊合金を斬ることは可能」
そして、余とクリートは戦いが始まって初めて互いに生身で向き合うことになった。
クリートの表情には明らかな怯えの色が走っているな。
まあ、それは無理もない。
こんなの、逆の立場だったら余でも怖い。
「……あ……あ……何だ……何なんだよお前はああああああっ!」
「やかましい」
裏拳一発。
顎骨を粉砕。
「あぎょぷえっ!」
冗談のような奇声と共に、クリートはボトボトと血を垂れ流しながらその場で意識を失った。
「とりあえず、これで終わり……か」
しかし……と、余は思う。
――間違いなく、イザベラ、あるいは12柱の現人神は……敢えて、学生たちに本当の戦い方を教えていない。
クリートが雑魚にしても、あまりにも歯ごたえが無さすぎるのだ。
奴らの大体の目論見は分かるが、これは後に色々と調べねばならんな。
そうして、機神の胴体から地面に降り立った余は、イザベラに視線を送った。
「な、な、な……」
「……どうやら生身で勝利できたようだが……何か?」
イザベラは目を白黒とさせ、口は半開き……。
これはかつて、勝ち戦の報告の際――。
自身の武功をそれはそれは誇らしげに語った直後、余の信頼するマルコキアスがイザベラの10倍の武功を淡々と語った時の……その表情に良く似ている。
つまりは、そこには引きつった表情のイザベラが突っ立っていたのだった。
「……きょ、今日は気分が優れぬ。おい、モーリス教官、私が必要としているのはあくまでも操縦者だ! その旨、よく理解して優秀な操縦者を一人でも多く育てるのだぞっ!」
それだけ言うと、イザベラは舌打ちと共にその場を去っていったのだった。
・作者から
次回から、懲りずに逆襲を企てたクリートさんのスーパー懺悔タイムです。
閻魔様には土下座しても通用しませんので、果たしてどうなるか……。
・作者から その2
新作書いてます
現在進行形でラブコメを練習しているので新作連打中なんですが、モノは試しで眺めていただければなと。作者の表現したいことが段々できるようになってきた気がします。
・タイトル
引っ込み思案で小柄で全身真っ白なロシア美人のリーリヤさんをイジメから助けたら、翌日にお弁当を持ってきた件
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