不平不満を陳べていたもの者

勇者突撃型

1話

 カタカタと、キーボードを叩く無機質な音が仕事場に響く合間、仕事に対しての責任と疲れが折り合いがつかなかったが、疲れに耐え切れず腕を上げ大きく伸ばし肩に手を置きほぐしながら束の間の休息を喫する。

 隣のデスクの添田さんに仕事の案件であろう書類を持ってきた部長と話している事に気まずくなり仕事に戻るが察するまでもなく睨まれているだろう、私に限ってか何時も少し羽を伸ばしている時に睨みにくる、今回もそうだろう。

 暫く仕事に向かっていたが部長のデスクから定時を知らせる目覚まし時計の音が放たれる。と言っても帰る者はおらず、休憩を知らせる音でしかない。

 たった5分の休憩の始まりに用を足す、勤務時間中に行っても誰も文句は言わないが部長が目で語るように睨みつけてくるからだ。

 全く、正式に入社して1年も経ったのに何が気に入らないのか堂々と言われるのも不快であるが、あの態度も気に入らない、だとして何も変わらない、何時もどうり仕事をして帰るだけだ。

 用を足し終わったのち流水を手に浴びせたのはいいものの蛇口を戻す時にハンカチを忘れていた事を思い出し、汚いと分かりながらズボンで手を拭う。

 何時も終電近くまで残業だが今回は3時間だけ残業し、満員程では無いが動く場のない電車に揺られ、疲れた身を送ってもらう。

 安いマンションにエレベーターなど贅沢な物は無く、疲れた体を惰性で動かしながら、3階分の階段を乗り越え私の一室に雪崩込む。

 その後はシャワーでさっさと体を洗いインスタントラーメンに冷蔵庫に置いてあるレタスのみじん切りや飽きた味を誤魔化す為の調味料を放り込み、疲れた体に無理やり押し込む。

 そこまでの記憶は有るが歯磨きしたか、そもそもこのベットに辿り着いていたかは分からない。

 そう呆けてながらも電子時計に目を移すがそこには残酷にも8:46と黒く表記されていた。

 焦りながらも部長に遅れる旨のメールを送ろうとするが、スマホの電源を入れた所で土曜日と映されている画面を眺めて、自分が何をしてるのか分からなくなった。

 休日は昼まで寝て体を休めるがつい癖で早くに起き、更にはあんな事が有った為に目は覚めている。休日なのに仕事の事で目が覚めるのは本当に心底バカバカしくなる。

 近くのコンビニで朝食を済ませ、家の方に歩きながら休日の過ごし方について思案する、ゲームやアニメや漫画など思いつきはするが、今の私には楽しめるとは思えない、気付いた時には家に戻る足が止まっていた。

 虚しさを紛らわすためかただ気が乗っただけか、普段動かす事が少ない体の為にも散歩をすることと決めた。

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