第3話 豆狸、痩狸達に助けを求められる

鉄の橋を渡り終えた後、更に大きな川に掛かる橋を渡ってから元の姿に戻り、しばらく歩いて豆狸まめだは小さな山のふもとにあるお寺に辿たどり着きました。



たしかこの辺りにも、狸が住んでいるはずです。

しかし、お寺の周りに狸の姿はなく、何やら犬や猫とは、違う動物の臭いがします。



近くの人間達の家の方を探していると、藪の中から三匹の痩せ狸が出て来て、豆狸に話かけて来ました。



『もしや貴方様は、【満月屋】の豆狸まめだ様ではないですか?』


『いかにもワシは豆狸まめだじゃ。

お前達はこの辺りに住む狸のようじゃが、そんなに痩せてどうしたんじゃ?』



すると痩せ狸達は悔しそうに言いました。



『実は…少し前までふもとのお寺の近くに住んでいたのですが、どこからかハクビシン鼻白がやって来て、巣と縄張りを奪われてしまったのです。』


『私達も戦ったのですが、アイツは強くてとてもかないませんでした。

お願いです!

アイツをやっつけてください!!』



ハクビシン鼻白は、ずっと昔に海の向こうの大陸からやって来た、畑やくだものの成る木を荒らす動物です。



その所為で、もともとこの辺りに住んでいた狸達はエサが採れずに痩せていたのでした。



『人間達もアイツを捕まえようと、罠を仕掛けましたが、まったく捕まらず皆困っているのです!』


『なるほど…そんな事になっていたのか……

皆、腹が減っているのじゃろう。

どれ、ワシが何か採って来てやろう。』


『しかし、この辺りにはもう食べる物は殆どありませんよ? 』



と痩せ狸が言うと、豆狸まめだは……



ハクビシン鼻白は、木にも登れる、だがあやつは重いから細い木の枝の先に成っている実は採れんのじゃ。

ここへ来る途中にもいくつか見かけたから、それを採って来てやろう。

その間に皆を集めておくと良い。』



豆狸はそう言って、まず近くの木に成っている柿の実を神通力を使って落としてあげました。



『ありがとうございます!豆狸まめだ様!!』



豆狸まめだは細い木の先に残っている木の実を探して、小さな山を歩き廻りました。

でも、残っている木の実はわずかです。

このままでは、とても足りません。



たくさん成っている柿の実もあるのですが、どうやら渋柿のようです。

でも大丈夫、豆狸まめだには神通力があるのです。



すると渋柿は、あっという間に熟し柿になったではありませんか!

ハクビシン鼻白が近づけないようにまじないもかけておきます。

これでしばらくは大丈夫でしょう。



ついでに人間達が仕掛けたという、ハクビシン鼻白の罠も見に行きました。



それは鉄でできた箱型の罠で、どうやら重いハクビシン鼻白が乗ると、戸が閉まるようになっているようです。



『コレは…使えるかもしれんのぉ~ 。』












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