勇者モルモット

影神

茶色い正義





この世界には沢山の種族が存在し、




互いに支え合い、皆で一緒に生きてきた。






しかし、時が流れると、感謝する事すらも忘れ、




それを境に皆が変わっていってしまった。






与えられているモノは決して当たり前ではなく、




恵みや、恩恵によるモノだと言うことを、




いつからか忘れてしまい、そうなると、




互いに奪い合い、時には、あやめてまでも




自らの地位や名誉を示そうとした。






戦わざる者は逃げ、安息の地を探し求めた。




だが、争いを避けても、何の問題の




解決にもらならなかった。






ある時それに疲れた茶色いモルモットさんは、




逃げ疲れた私にこう言った。




モルモットさん「私を彼処へ送ってくれ。」




皆が争い、怒号や、悲鳴が飛び交う、




目をやれば骸と化しているあの悲惨な場所へと




モルモットさんは目を向ける。






私は船で逃げていた為、近くの水辺までなら




送る事が可能だったが、それは出来なかった。




いや、したくなかった。






私「あなたも一緒に逃げましょう。




あそこへは行ってはいけません。






争っても何も生まれないのです。」




そう逃げる様に促すが、モルモットさんは、




「もう、逃げるのに疲れてしまった。






結局争わなければ何も勝ち取れはしないのだ。




どうか私を彼処へと送って下さい。」




モルモットさんはどう見ても




その様な状態ではなかった。






体は小さく、戦える様な性格でもなかった。






私は彼の意志を尊重し、近くへと送った。






弱虫な私は勝てもしない戦場へと、




小さく勇敢な優しいモルモットさんを送り、




のうのうと、生き延びる為に逃げた。






近くの川で、間もなくし、モルモットさんは




ゆっくりと水の流れに乗って流れて来た。






私は号泣した。






私が止めていれば、




私がそんな無謀な考えを否定していれば。






結果は見えていた。






争いが彼を殺したのか、




私が彼を殺したのか、






勇敢で優しく、小さな茶色いモルモットさんは、




皆の自分勝手な行動のせいで亡くなってしまった。






私は現実からも現状からも逃げ、生き延び、




彼は現状に呆れ、現実を変えようとし、絶えた。






どちらが真っ当に生きると言う事なのか。






変えようともがき、息絶えるのか、




変えようともせず逃げ続け、生き続けるのか。






私は残りの時間を目一杯使って考えようと思う。






モルモットさん。




安らかにお眠り下さいませ。






勇敢なるモルモットさんに捧ぐ、




























































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勇者モルモット 影神 @kagegami

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