私流の青春

時計 海月

第1話 私の青春

 2021年、2月。

「・・・え?」

 2021年、2

「え・・・嘘でしょ、もう2月なの!?」

 少女のそんな絶叫が家中に響き渡った。


 私は、高橋麻衣たかはしまい。高校3年生のJK! 

 最近新型コロナウイルスが大流行している影響で、半年くらい学校がオンライン授業だったけど、秋からは登校が再開している・・・けど、それよりも!

「どうしよう絵里えりちゃん!私が想像していた青春をしていない!」

「落ち着きなさい、麻衣。マスクをしていても叫ばないの!」

「あ、ご、ごめん・・・」

 彼女は、鈴木絵里すずきえり。私の大親友で、いつもクールでカッコイイ!

「それで?青春がどうしたの?」

「ありがとう!相変わらず優しいね!」

「それはいいから!話さないなら私が語るわよ?」

「それはまた今度お願いします。で、そうなの、想像していた青春をしていないの!私、高校生活ってもっとキラキラしてるものだとばかり思ってた。でもさ、実際はそうでもなかった!」

 そうなのだ。私は、ドラマや小説なんかの青春ものをイメージして、高校生活に憧れていた。いつかは自分もそんな青春をするのだと。だがしかし、なんか違う!

「私の想像では、学校帰りにクレープとかタピオカとか食べて、恋愛もして、毎日充実してっていう感じだったの。でも実際は、学校に行って、課題をやって、アルバイトをしてって感じでいつの間にか3年生!しかも今日気づいたんだけど、もう高校生終わりかけ!」

「あら、今日気づいたの?遅かったわね」

「気づいてたの!?さすがだね!」

「相変わらずね・・・。でも、どこかでその想像していた青春をやる機会はなかったの?」

「学校とアルバイトで私の時間とHPは尽きるんだよ!でも、アルバイトをしないと貢げないし・・・」

「原因には心当たりがあったのね。でも、貢ぐことも大切よ?しのためだもの!」

「だよね!」

 何を隠そう、私と絵里ちゃんはオタクだ。違いとしては、絵里ちゃんは2次元専門、私は2次元3次元問わないところ。まあ、私は絵里ちゃんの影響で2次元にも興味を持ったんだけどね。

「でも、ある意味あなたのイメージする青春は出来てたんじゃないかしら?」

 え?

「えーっと、どういうこと?どの辺が?」

「そうね、たとえば、学校帰りじゃなくて休日だけど、私といろんな所で買い物したり、推しのコラボイベントのカフェに行ったりしたわよね?」

「あ、それはたしかに。コロナが終わったらまた行きたいなー」

 ショップ巡り、楽しかったなー。

「それから、恋愛-とは少し違うかもしれないけれど、推しがいるわよね?」

「そうだね!しかも、絵里ちゃんに教えてもらって、いろんなカッコイイ人を見つけた!」

「そういえば、あなたの推しってどういう人が対象だったかしら?」

「決まってる!私がカッコイイと思った人!カッコイイ人なら2次元でも3次元でも!」

「幅広いわね・・・。まあ、2次元に興味を持ってくれたのは嬉しいわ。否定もしないし」

「当たり前だよ!カッコイイ人はその人の基準なんだから!」

 私だってそうなんだから、他の人もそうだと思ってる。基本否定しないのが私のスタンスだ。

「あなたのそういう感性はありがたいわ。で、あとは、毎日充実してる、だったかしら?どうだった?私はあなたと毎日楽しく話せて、充実していたように感じるけれど」

「ありがとう!私も絵里ちゃんと話せて毎日楽しいよ!・・・ん?」

 え、あれ?

「私・・・青春、してた?」

「あなたがそう思うなら、そうなんじゃない?」

「あ・・・ほんとだ、そうかも・・・」

 どうやら、私は気づいていないうちに青春してたかもしれない。思っていた青春とは少し違ったけど、

「絵里ちゃん!ありがとう!」

「どういたしまして。じゃあ、次は私の話を聞いて?推しを語らせて!」

「もちろん!」

 まあ、いっかな。これが、きっと私の青春なんだ!


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私流の青春 時計 海月 @shalu-kulage

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