あの子は今

@kokoro-

第1話

中学生に進学して部活に入った時、僕は一目惚れした。

すらりとした体型で、目を引く艶やかな長い黒髪、一重瞼のすこし細い目。どうやら僕はすこし細い目に弱いらしい。

そんなあの子と同じ部活に入ることになり、僕は子供なりのぎこちないアプローチに躍起になった。

今となっては絶対にしないが、子供ゆえの考えの浅さで、好きな人に少し意地悪をしたり、廊下ですれ違うたびに声をかけたり、遊びに誘ったりしていた。

今の自分と比べるととてつもない行動力だと思う。

そんな稚拙なアプローチであったが、部活仲間のサポートもあり、そしてあの子も僕を好きになってくれたので付き合うことができた。

付き合ったといっても中学生、大したことはできない。遠くに2人で出かけたり、お揃いのペンやアクセサリーなどを揃えたりしていた。

互いに好きであると把握していると、友達と遊んでいるのと変わらない内容でも、胸が高鳴って幸せな時間を過ごせた。

だが部活に専念しすぎたせいで勉強が疎かになっていたので、受験生になってからは勉強に専念するようになった。

あの子との連絡を取るのも面倒になり、そのまま自然消滅してしまった。

今ではなぜあんなにあの子をぞんざいに扱ってしまったのかと後悔をしている。

あの子は今どうしているだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あの子は今 @kokoro-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ