まぐあれい

 周りを見渡すと、茶色い池のようだった田んぼには、綺麗に緑の苗が整列していて、春から夏へ季節が変わる時、というのをしみじみと感じます。


「よーし、『まぐあれい』すんべ」

 

 田植えが終了した週末、じいちゃんは言いました。

 

 はい、ものすごく訛っています(笑)

 漢字で書くと伝わりますかね。


 「馬鍬洗い」

 って言っているんです。

 標準語で言うと「まぐわあらい」になります。


 昔は、田植えを終えた後、馬に付けていた馬鍬を洗って綺麗にしていました。(「馬鍬」は、馬にひかせて田んぼを耕す道具のこと。)

 そのあと、田植えが無事終了したことを感謝し、豊作を祈願しながら、田植えを手伝った方々と一緒にご馳走を囲んで飲み食いをしたんだそうです。

 それが「馬鍬洗い」の行事になります。

 

 今は、トラクターなので、馬や鍬を使いませんが、田植え後の慰労会の呼び方には当時の名残が残っているんですね。


 なので、冒頭のじいちゃんの言葉は、

「田植えが終わったから、ご馳走でも食うか〜」

 って感じです。


 牛や馬を使って〜なんて言うと、随分と昔の事だと思いますが、じいちゃんの子供の頃は家で馬を飼っていたそうです。

 しかも、馬鍬をつけた馬をひいて、しろかきするのは、子供の仕事だったとか。

 それってほんの数十年前のことですよ。

 時代の移り変わりって、あっという間だなぁ。


 数十年後、どんな世になっていることやらです。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る