花を渡るもの

「マメコバチの巣ができてるぞ!」


 捨てようと置いておいた葦簀よしずに、蜂の巣が作られていたようです。

 さあ、この時のじいちゃんの表情はどんなでしょうか。


 困った顔? それとも嬉しい顔?


 正解は! 「とても嬉しい顔」でした。


 蜂は花粉を運んでくれる益虫。

 果樹の畑をぶんぶんぶんと飛び回り、花から花へ花粉を運びます。

 梵天(タンポポの綿毛みたいな丸いふわふわがついた道具)を片手に、人の手で花粉つけもしますが、自然の力、蜂の力で受粉させた方がより美味しい実になるといいます。


 なので、蜂屋さんからミツバチを借りて、畑に巣箱を置いたりしています。

 でも、じいちゃんが言うには、ミツバチよりマメコバチの方が良いんですって。


 ミツバチが蜜を運ぶのに対し、マメコバチは花粉を運びます。

 花粉団子を作ってそこに卵を産むからです。

 そのため、マメコバチは花の中に潜り込み、丁寧な受粉をしてくれるそうです。


 ヨシなどの小さな細長い穴を巣にするマメコバチ。

 茅葺きの屋根が多かった昔は、そこに巣を作って、マメコバチもたくさんいたようですが、今は少なくなったみたい。


 農家に嬉しいマメコバチ、増えるといいなぁ。


 

 蜂は花を渡っていい仕事をしてくれます。

 家の中に迷い込んだ時はそっと窓を開け、表へ逃してあげてくださいね。

 

 


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