第2話
自分と同じ新入生に成長剣を背負うものがいないため、俺の自意識をくすぐる。
入学して一週間たち、どの授業をとるのかあっちこっちと回った。
Aランク冒険者となるため、ダンジョン学と剣術の授業をメインに取ることにした。
魔法学にも興味があったが、オレには魔法を使えるほどの魔力がないので諦めた。
最後の授業が終わり、成長剣を背負い校庭に出た。
剣士の人が多いらしく、剣を背負った人が沢山いた。
校庭を半ばほど行ったときだった。
後ろから金属音が近づいてきて、次の瞬間肩に強い衝撃を受けた。
ぐらりと体が傾くのをなんとか踏ん張り、振り返ると、痩せた男が転がっており、剣を持った体格の良い男がニヤニヤと笑っていた。
どうやら決闘をしており、痩せた男が吹っ飛ばされてオレにぶつかったらしい。
体格の良い男が持っているのは魔剣と呼ばれるものだろう。
剣の中心に緑色の魔石が埋め込まれている。
体格の良い男は低い声で言った。
「おい、お前、決闘の邪魔するんじゃねえよ」
一番最初に柄が悪い、と思った。
「こんなところで決闘してる方が悪いんだろう。他所でやれ」
「なんだと?」
後ろから剣を背負った男がやってきた。
「おい、マサユキどうした?」
よく見ると2人は同じ紋章のバンダナを巻いている。
マサユキと呼ばれた男は答えず、オレを殺意を込めた目で見てくる。
「オレは貴族やぞ。貴族の決闘を邪魔してタダで済むと思うなよ」
厄介なことになったと思った。
「見ない顔だな、新入生か」
そう言われて気づいた。
奴らが同じバンダナを巻いてるのは、決闘部であり、先輩だということに。
決闘部というのは、古来より続くダンジョンに潜るパーティの優劣をつけるための対人戦トーナーントに参加する部活だ。
伝統ある部活なので貴族が多く、将来のトーナメントを戦う練習となるため人数も多い。
オレは舌打ちした。
「なんだその態度は、土下座して謝れ」
オレが悪いわけではないので、謝るわけにはいかない。
黙っていると、いきなり剣を向けて来た。
「ぶっ殺してやる」
そう言って剣を振り上げ頭めがけて振り落とした。反射的に剣を抜き受け止めた。
魔剣の能力を使っていないためなんとか受け止められた。しかし向こうのほうが力は上だ。
このままだとジリ貧なため後ろに飛びのき、走り出した。
彼らが後ろから追って来る。
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