創作論(なにを書くか)

長編小説の書き方

 最初に書いたとおり、具体的な作品づくりには触れないが、長編小説について、すこしだけふれる。


1.長編小説を一度は書こう


 文章を書くうえでいちばんの学習方法は、とにかく書いてみることである。

 とくに長編小説がよい。一度は書いてみよう。

 長編小説を書くと、副産物として、読み手としての能力もあがる。



2.長編小説を書くむづかしさ


 起承転結のうち、起をどう書くか、どう読ませるかが長編小説を最後まで読んでもらうポイントだ。

 起が不十分だと作品に深みが生まれない。

 しかし、長すぎたり、詰め込みすぎたりすると、読んでもらえなくなる。

 そのバランスがむづかしい。



3.プロット(構想)を用意する


 基本的に、物語は書けば書くほど、方向性が定まっていく。

 登場人物に何かをさせようとした場合、それまで書いて来た内容から外れる選択肢が除外されるためだ。

 “キャラクターが勝手に動き出す”わけである。


 これが最後までうまく行けば、物語全体の整合性が自然と図れる。 

 逆に、うまく行かないと、登場人物の身動きが取れなくなり、物語が立ち止まってしまう。


 物語の立ち止まりを防ぐには、プロットをつくっておくのがよい。

 最後までの粗筋をあらかじめ考えておき、登場人物の行動がその筋から外れないように注意しながら書いていく。



4.プロットをつくりこむ


 深みのある作品にするには、プロットをつくりこむのがいちばんだ。

 クリエイターがどこまで考えて作品を作っているのかを知るには、岡田斗司夫さんのスタジオジブリを扱った動画がわかりやすい。

 ただし、プロットを作り込む度合いは、小説を書く目的で異なる。

 承認欲求を満たすために書く場合、プロットはできる限り、細かい部分まで決めておくべきだ。

 しかし、そうしてしまうと、小説の形にする工程が、パズルを完成させるような作業になってしまうので、小説を書くこと自体を楽しみたいのならば、プロットは最小限にとどめるべきだ。



5.文字数が足りない場合


 コンテストの規定文字数を満たさない場合に、文字数の水増しを行ってはならない。作品の密度が薄まる。

 主催者が求めるのは、規定文字数にふさわしい内容をもった作品であり、文字の羅列ではない。

 追加のイベントを加えるなりして、作品の密度を下げないように文字数をふやす。

 会話文や景色の描写を引き延ばすなど、作品の密度を下げることで規定を満たしてはならない。



⇒次回は『まとめ』

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