エレメンタルワールド~リピート~

ゆめみじ18

プロローグ 神話の再現

 あなたは神を信じますか?

 これはもし、神様を信じた場合どうなるかという、そういう物語。


 神様、星明幸(ほしあかりさち)は12人の星座達に言いました。

「想像を超えろ、想像できる全力で。でなきゃ相手に失礼だ!」

 一拍、神様は間を置いて……。

「気は熟した! さあ! 世界を遊びつくせ!」

 そして、ここに神の機械。神機【神のゲーム】が完成した。さあ、ゲームを始めましょう。

 西暦2020年、5月14日。この日、全ては始まった。


 それから1年後。知られざる銀河を超えた先……。

 とある惑星、戦艦タートル、楽園エデン。その大会。


 とある司会者から、マイクごしに熱狂の実況が木魂する。

『第一回エレメンタルマスター優勝者は、マスター三ツ矢選手に決まりましたー!』

『わあああああ――――!』

 嵐の騎士、将護三ツ矢(しょうごみつや)は激闘の末。決勝戦へ進んでいた。

 大会の会場を埋め尽くすほどの観客の歓声が聞こえる。満員御礼。

「「「「わああああああ」」」」とけたたましく、けれども活気に満ちた歓声の中、実況者が言う。

『続いてEXゲーム! 神のゲーム大会宇宙最強の称号を獲得した三ツ矢選手には神であり、このゲームの制作者、そして現チャンピオンの星明幸選手への挑戦権が与えられます』

 審判が合図をする、「レディ……」。


 メダルを親指で弾き宙へ浮かす。飛んだメダルは回転し。

 トリガーから、扇形の光が空へライトアップ。水中にダイブしたかのように光の中で遊泳。

 空中で静止する。静止したメダルはパリィン! と。

 メダルサイズから、手のひらサイズへ大きくなり。コンペイトウのような形に変貌。

 水晶の結晶体のような透明感と、ダイヤモンドのような煌びやかさを輝かせ。

 西部劇の拳銃を抜くような緊張感と構えで、ヒーロー戦隊のお約束変身シーンでの。

 前動作をした後。プレイヤーは声を張り上げる。

 将護三ツ矢選手と王者でありラスボス。星明幸は叫ぶ。


「「エレメンタル!」」

 拳銃を抜くように水晶を割る。審判が「ファイト!」っと告げる。

「「ドロ―!」」

 『わあああ――!』と、観客者達の大歓声が木魂する、大盛りの大反響だ。

 しかし、その熱狂を裏切って。唐突に時間が経過する……。


 「あああぁ……」と観客の喜びの声と、残念がる悲痛な叫びが混じり合う歓声の中。

 実況者が白熱の決戦を生中継で伝え損ねた。

 ラスボス、幸が三ツ矢の【過去に負った痛みや傷を全部今に蘇らせる技】。

 『タイムショック』ですべてが一瞬で終わった。

『あーっとやはり強い神様幸選手! 三ツ矢選手が手も足も出ない!』

 少女、星明幸は。倒れた男。三ツ矢を残念な感情と共に見下ろしながら、寂しそうな声で言う。


「つまんない」


 しかし、倒れた三ツ矢は。最後まで立ってられるのは、基礎からしっかり作った奴だけだと言わんばかりに立ち上がり。微笑と強がりとは違う、確信をもった態度で声を絞り出す。

「おもしれえ……! お前がつまらないと言うたびに俺は面白いって言ってやるよ!」

 決定的な神への宣戦布告が、今なされる。


「人知を超えたその先へ俺がつれてってやる!」


 星明幸(ほしあかりさち)。この世の神。ラスボスを夢見る少女の姿の怪物は。その言葉に対して苦悶が徐々に変わり、不敵な微笑を掲げ、含みのある態度で三ツ矢に対して、笑う。喜ぶ。

「はん、そいつは楽しみだ、はてさて。それは本当に実現可能なのか……」

「間さえ貰えたら、敗北感プラスして写真付きでプレゼントしてやるよ!」

「ふむ、それなら合格じゃ」

 かくして第一回エレメンタルマスター(略称EM)大会はヒーローの敗北で終わりを告げる。

 そして、真に必要な次なるステージへの幕が上がる。


 そう、本当の主人公の物語を……神話を……。

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