0 始まりの場所
根岸京也は困惑した。
買い出しに行っている途中で光に包まれ、何だかよく分からない部屋に召喚された。
足元には魔法陣のような図形が描かれており、周囲には槍を片手に立っている鎧やひげを長く伸ばした白髪の老人が立っている。
目の前にはふんぞり返っている中年くらいの男がいる。
「召喚成功じゃな!
早速じゃが、若者よ。名は何と申す?」
「根岸京也です……?」
どういうことなのだろうか。
腕をつねっても痛いから、夢ではないらしい。
戸惑う京也の姿を見て、人一倍声の大きな男は剛性に笑った。
この男は周りにいる人間よりも服装が派手で、身に付けている宝石がギラギラと輝きを放っている。
「混乱するのも無理はあるまい。
まあ、落ち着いて話を聞いてほしいのだが……」
京也が今いるのは、ボーケン城の大広間らしい。
異世界から強者を召喚すべく、前々から準備を重ねていた。
召喚を提案したのは他の誰でもない、目の前にいる声の大きい男、この国の王だ。
現在、この国の辺境には「魔物」と呼ばれる強力なモンスターが存在し、危機にさらされている。そいつらを7日以内に討伐しなければ国は滅んでしまう。
この世界にいる者では到底太刀打ちできないので、異世界から強力な力を持つ者を呼ぶことにした。
「そこの魔術師によれば、お主は竜の力を持つと聞いた。そうじゃの?」
「ええ、確かにその通りです。
そんな大したものではございませんが……」
王は期待を込めた視線を投げる。
なるほど、こちらの事情は把握済みということか。
逃げ場がなくなっていくのを感じた。
「何を言っておるか! そのような力を持つ者を探しておったのじゃ!
冒険に関する装備はこちらで準備する。
7日以内に討伐ができれば、お主を元の世界に戻してやろう。
できなければ……どうなるか分かっておるな? どうじゃ、引き受けてくれるな?」
周囲からの圧が一層に増した。
「いいから引き受けろ」と王の顔に書いてある。問答無用かよ。
護衛と思われる鎧と戦ったところで、勝てるはずもない。
「分かりました。俺でよければ、力になります」
ああ、その場に流されて言ってしまった。
こんなの、八方塞がりもいいところじゃないか。
「よし、その意気じゃ! 若者よ!
ヤケクソパワーで乗り切るのじゃ!」
周囲のボルテージが一気にはね上がった。
根岸京也はリュックサック、金属の水筒、三日分の携帯食料、ナイフ、おおよその魔物の方向がわかるコンパス、なんか魔力で光る石のランタン、銅のメダル(通貨ではない)を手に入れた。
Result:Success
Roll the dice/4
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