須らく平穏であるべし

皆さん、明るい顔ですよ、明るい顔

「この世界は素晴らしいのです。

　ここでは皆が平等で、皆が同じ権利を生まれながらに持っているのです。

　だから、人として生まれた責任は皆が皆、同じだけ持っているのです。

　ですが、この世界にはその権利をうまく行使し得ないものがいます。

　彼らは『怠惰』です。我々は平等なのだから、皆が勤勉にその権利を行使しなければならず、その努力は皆同じように行えるのでございます。

　それなのに、自らの勤勉を発揮することなく、才能だとか金銭だとかを言い訳に『怠惰』へとなり下がるのです。

　この世にはびこる貧困も、苦難も、そのものが『怠惰』であったが為なのです。

　わかりましたか？」

　……と書かれた紙がやっぱり今日もポストに入っていた。

　そして、学校に通うわが子も毎日のようにこの紙を持って帰ってくる。

　この世界は平等という仮面の下に現実を隠して成り立っている。