回答①🌰

🌰


「や、やだなあ。きみに決まってるじゃないかっ! でもね」


「でもねはいらんッ!!」


 あかん、二子ふたこちゃんの言葉が雄々しさを増してきた。腕組みトントンは、彼女の中の阿修羅召喚の合図でもある。ただ今、僕のピンチ度絶賛上昇中!


「僕にはきみが必要だけど、仕事もやっぱり必要なんだよう!

 きみだって、いくらきみを愛してても無職ニート男なんて嫌だろう?

 仕事がないと、僕はきみのお荷物になってしまう……いや、ヒモだ。荷物ですらないじゃん」


「正論言うなあ! 熱意の傾け方が違うっちゅーねん!!」


「きみは僕にとってのハンバーグだ! でも、ハンバーグにはライスが必要なんだよ! わかるだろ? つまり、両方必要なんだよ!」


「あたしはパン派だー! しかもその言い分だと、仕事は毎日・あたしは月一くらいでいいことになっちまうだろがーッ!」


 やむを得ない。刻々と迫る出社タイム。覚悟を決めるときが来たようだ。


「きみが毎日、の方がいい。きみが週七、仕事は週五。つまり、これからは僕のために、毎朝味噌汁を」


「パン派と言っとるだろがー!!

 それになんかいい感じの話でまとめようとしてるけどね、関川くんには、あたしよりも仕事よりも一番大事なものがあるでしょ……その存在に、あたしが気づいていないとでも?」


「な、なに!?」「これを見るがいい」


 二子ちゃんが差し出したスマホ――の画面いっぱいに、美少女のまぶしい笑顔。


「こ、これは! まさか、『ミラクルスイーツ♡栗かのこ』の限定壁紙じゃねえかっ!? 円盤購入者100人にしか当たらないと伝説の…!!」


「ほう、よくご存じで。さすがハンドルネーム『かのラブ一番』を名乗るだけはあるな!」


「なぜ知っているー!!」


 詰んだ。僕は両ひざを地につけてむせび泣いた。戦いに、僕は負けたんだ。


「最後に、聞かせてくれ……その壁紙は、いったい……?」


「ハンドルネーム、『関イチ』。それがあたしの二つ名だ」


「関イチ…関イチだと! かのラブを争う、ボクの最大のライバルじゃねえかー!!」


「この名に込めた、あたしの思いを見抜けなかったんだ。潔く負けを認めるがいい」


「嘘つけー!! お前の方がよっぽど沼ってんじゃねえかーッ!!」


「かのこはあたしにとっちゃ三時のおやつみたいなもんさ! 一番は、とっくに決まってたのに……バカだね、あんた……」


 その後、僕と彼女は仲良く「かのラブ夫婦」としてかのラブな毎日を送ることになりました。


 彼女にとっての一番は僕で、かのこは三番。二番に君臨する某乙ゲーイケメンキャラに給料を注ぎ込むことになるのは、また別のお話。


🌰


『彼女が一番・仕事は二番、三時のおやつは栗かのこ』


<終>

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