人生とはわからないものである
甘酒
人生とはわからないものである
まさかあの子が僕の嫁になるなんて
あの時は思いもしなかった。
僕は高校2年の時に留年し、2年生を2回経験したのちに3年で嫁と同じクラスになった。
体育祭の時に何人かのグループで仲良くなった数人のうちの1人だった。
ほどなくして嫁は僕を好きになってくれた。
告白こそしないながらも、周りから見ても僕を好きなのは明らかだった。
遅刻ばかりし、ろくに授業もちゃんと受けないようなろくでもない僕のどこを好きになってくれたのかは謎だが。
しかし、僕には好きな人がいた。
別れた彼女をいつか迎えに行くと公言していた。今思うとバカバカしいが、その時は本気でそう思っていた。
そのせいか、彼女は告白をしてくる事もないまま高校を卒業した。
卒業して暫くはちょこちょことグループで集まっていたが、そのうち社会人になり皆忙しくなって会わなくなった。
僕はそれから別の彼女ができ、その後その彼女から別れを告げられた。
僕はその時ふと僕の事を一途に好きでいてくれた嫁の事を思い出した。
あの子、良い子だったなぁ。
なぜあの時あの子を好きにならなかったのだろう。
そう思うと会いたくなった。
グループの仲が良かった1人に無理を言って、会わせてくれるよう懇願した。
その友達は彼女を振り向かせるのは無理だと言った。
あの子は好きな人がいるのだと。
一途なあの子は彼氏と別れ、フラれても一途に思い続けていると。
あんたには振り向かせる事はできないと言われた。
それでもいい。
あの子に会いたい。
そうどうにか説得し、3人で会う機会を作ってもらった。
会う時点で、僕は彼女をもう好きになっていた。
完全にあの時と立場が逆転していた。
3人で会った後デートに誘い、色々とあった後、なんとか彼女を振り向かせる事ができた。
長い年月付き合った後、僕たちは結婚し、可愛い娘を授かった。
あの時はこうなるとは思いもしなかった。
人生は何があるかわからないものである。
人生とはわからないものである 甘酒 @irohachan
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