練り消し

青野ひかり

練り消し

私は練り消しみたいだ。


最初は真っ白だったのに、


どんどん黒ずんでしまった。


描いた絵を何度も消して、


黒ずんでゆく。


もう真っ白には戻れない。


でも、必死で絵を描き続けた。


黒ずみながら何枚もの絵を描いた。


もうこれ以上黒ずみたくないけど、


私の描いた最高の一枚を、


貴方に見てもらいたい。


その絵は幼い頃に描いた純真無垢なものではないだろう。


けれど、黒ずんで汚くなっても、


綺麗な絵を描きたい。


貴方に誇れるように。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

練り消し 青野ひかり @ohagichan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ