1-12 虎穴の先にいた鬼
単身薄暗い森の中へ、ずいずいと進んでいく小さな背中を見つめながら、自分は対照的な光の差すほうへ足を進めだした。一度来た道を少し戻り、トールとラディスから遠ざかりつつ、徐々に小屋に近づくように迂回して進む。
小屋に近づくにつれ、周囲には切り株が増え始め、徐々に風通しが良くなってきた気がする。足元の泥濘(ぬかるみ)は湿り気を減らしていき、純粋に草木が腐敗して出来た柔らかい土へと変化していく。草木の葉の色も深緑から新緑、そして日が当たりすぎて、少々焼けたような黄緑色が混じりになっていった。
(自分は迷い人。人の気配を見つけて、近寄ろうとする迷い人)
演じなければならない役柄を確認しながら、徐々に身体の隅々まで“迷い人の意識”を流し込む。
一人という状況が、嘘の無い心細さへと変わっていきく。
一人という緊張が、現実に近い小心者を作り出す。
目に見える人影という安心に縋るように、歩調が少しずつ速くなる。
「……んだ? テメェ、何しに来やがった」
見取り図にあったように小屋の前に広がっている空間に出ると、二つの人影はゆっくりとこちらを視界に入れてくる。ラディスの言葉通り、牙獣族(ガルムス)と純人族(ホミノス)の男二人が、小屋から張り出した上げ床のテラスに、けだるそうに身を預けていた。
声をかけてきた男は、中途半端に伸ばされたボサつく黒髪の間から、先が丸くなった猫耳を生やした牙獣族だった。右手には、片手で収まる程度の色つき瓶を持っている。赤らめた頬、やや焦点のズレた眼、だらしなく舌なめずる仕草。
(この男、酔っているのか……?)
自分は先日まで未成年であったために呑んだ事がなく、また酔いというものも書籍から得た知識の上でしか知らない。瓶の中身が酒であれば、目の前の男はまさしく酔いの状態と言っていい。
これはかなり好都合かもしれない。感覚器官に優れた牙獣族が酒を浴びているこの状況は、自分にも裏手に回るカキョウにも、大きなチャンスとなるだろう。
しかし、純人族に見える男は呑んでいる様子も、酔っている様子もなく、ただこちらを観察するように静かに見てくる。
純人族の男は、隣の男よりもやや低い背丈ではあるが、細身の割りに筋肉の付きが良い。太ももと似た長さの小剣と表現してよさそうな小ぶりの両刃剣を、左右に一本ずつ、合計二本腰に下げている。見るからに、カキョウと似た素早い立ち回りの剣士ではないだろうか?
自然と歩みが止まる。足がこれ以上進まない。目の前に見えない線が引かれ、それを踏み越えてはならないという、漠然としたイメージが浮かぶ。実際に罠が仕掛けられているかもしれない。何も無くとも、それが何かの合図か。
色んな考えが駆け巡るが、結局のところ、単純なる恐怖なのだ。
「す、すまない。この道がラーネスの街への近道だと聞いたんだが……」
そのために演技ではなく、自然と声も震える。背中に嫌な汗が伝う。
「ああん? ここの何処に道があるように見えるんだ? ああん!」
呑んだくれ牙獣族の男は、こちらの言動が癇に障ったようであり、見る見ると機嫌が損なわれていくのが、手に取るように分かる。
「そ、そのようだな……邪魔したようだな。し、失礼する」
相手の怒気に気圧され、純粋な恐怖によって逃げ帰るように、ささっと踵を返す。
さて、問題はここからだ。本心も混じったこれらの行動は、相手が襲い掛かってくるように仕向けるための策だ。弱腰で、気弱で、しかも土地勘が無く、身なりも新しく、追い剥ぐには絶好の獲物だろう。引っかかってくれれば、カキョウの安全性が大きく上がるはず。引っかからなくても、相手の視線を一時的に釘付けにする事はできる。
「……おい、待て。お前は何処から来たもんだ?」
その声は、まだ聞いていない、もう一人の男から発せられたものだ。
ゆっくりと振り返れば、それまで静かに動かず注視していた眼は、こちらの頭から足先まで、なめずり回るように物色の色を写していた。
(掛かった)
「……見てのとおり旅の者で、今朝、ポートアレアの街についたんだ」
もう半歩、完全に返した踵を戻すように、見張りたちへ向き直る。
「見てのとおりねぇ? その割には、着ている物が真新しいものばかりなんだが?」
純人族の男は、こちらの予想通りに、身に着けている物に興味を持ち始めている。
それまでは、テラスに身を預けていたが、ゆっくりと身体を起し、腰に刺した小型の剣を二本とも抜き取った。牙獣族の男も手に持っていた酒瓶を適当な場所へ投げ捨てると、両手首から先に力を入れないように振り回し、準備運動のような動作を始めた。
「ヒャハ、あれか? ママに新しいおもちゃを買ってもらって、見せびらかしに街まで来たってか!」
ゆっくりと、見張り役の男たちはこちらへ距離を詰めてくる。
相手の歩調に合わせるように、自分もゆっくりと後退し、少しずつ相手を小屋から引き剥がしていく。
相手には、怯え震える鹿などに見えているのかもしれない。
「その上、騙されて、俺たちの前に現れるとはぁ……可哀相な僕ちゃんだこと」
先ほどから、好き勝手に言わせておけば、こちらの癇に障る言葉ばかりが並ぶ。好きでこのような場面にいるわけでもなく、好きでこの服装を着ているわけではない。
全てが整われすぎた、事後承諾の物語。
お前達に、何が分かるというのだ。
湧き上がる怒りに、身を任せてしまおうかとも思った。
「よく言うだろ? 有り金と金目の物ぜーんぶ置いていってもらおう、かっ!!」
純人族の男が物静かそうにしていた表情を狂喜に歪め、両手に持った小剣を構えつつ、こちら目掛けて駆け出してきた。
「ヒャッハー!!! 略奪だぁぁあぁ!」
牙獣族の男もご自慢の鋭利な爪を構え、酔いに身を任せながら迫り来る。
状況としては、注意以上の物を引き寄せることが出来たはず。あれだけの騒ぎで、中から誰も出てこないという事は、この二人以外はいない可能性が高くなった。
ならば、状況としては上出来ではないのだろうか?
ここで見張り役を叩けば、多くのことが解決しないだろうか?
自分が倒れても、待機している二人が何とかしてくれる。
足が自然と止まり、右手は背面の剣の柄を握ろうとしていた。
その瞬間。
耳に突き刺さるような、強烈な破砕音。
顔をしかめてしまうほどの、突然の突風。
視線の先には、小屋の入口部分が屋根もろとも“内部”から爆発四散。
火の手こそ無い、純粋なエネルギーの爆発。衝撃波の風が森の木々を揺らし、髪と木っ端微塵になった小屋の破片を巻き上げる。
破壊された小屋の入り口部分はは、巨人族(タイタニア)すら悠々と通れてしまうほどの、巨大な穴がぽっかりと開いた。
何が起きた? 爆発? 罠? カキョウは? シスターは?
たった一瞬の出来事に、息をするのも忘れるぐらい、頭の中が混乱で破裂しそうだ。
自分を追いかけてきた見張り役の二人も、思わず振り返っていた。この事態は、彼らにとっても不測の事態ということか?
「ガハハハハハ! ラッツ! ガナン! おめーらも、コレ見てみろ!!」
森全体に響き渡る、新しい声。穴の開いた小屋の中から、黒く巨大な影がぬるっと出てきた。
「おお! 親分!」
それまで酔っていた牙獣族が、酔いが飛んだといわんばかりの嬉々とした笑みで、破壊された小屋を見上げた。
軒先と同じぐらいの背丈、不自然に巨大な上半身、噛み合わせを無視して伸びる下の犬歯。肌はまだ常識的な範囲の色であるが、コレが緑や青なら、目の前の者が巨人族(タイタニア)ではなく、モンスターの一種と認識しただろう。まさに御伽噺に登場する巨人の化け物そのものだ。親分と呼ばれていたという事は、この化け物がバッドスターズを掌握した新たなるリーダーのグローバスということか。
そして、巨体の右手に握られていたのは……。
「ほれ! 罠にかかったお間抜けだ!!」
短く切りそろえられた真紅の髪。髪の間から小さく生えた角。オレンジ色のアームカバーとハイソックス。
「放せって言ってるでしょ!!!」
紛れも無く、カキョウであった。
小柄とはいえ、彼女の胴回りを片手で掴み上げる巨大な手。まるで乾杯に掲げられるゴブレットか、仕留めた仔ウサギを見せびらかすように、カキョウが軽々と掲げられている。指に何度も肘鉄やゲンコツを食らわせても、皮膚をつねってみてもビクとせず、カキョウの抵抗が幼児の駄々や癇癪に見えてしまう。それぐらい、目の前の巨体は、巨人族を越えた何か、もしくは本物の化け物だ。
最悪なことに、彼女の腹には奴の親指が当てられている。こちらが何らかの行動を起こせば、即座に彼女を圧殺することができる。
せめて、相手の視覚外からの強襲を掛ける事ができれば……。
「ダイン!! 動くなっよ!!」
居た。相手の視覚外にいて、こちらの動きを見ている仲間。森の中に響き渡るトールの声。
遅れて、場の全員が状況に困惑している中、“異様な空気圧を持った竜巻”のようなものが、周囲に白い霧状の飛沫を撒き散らしながら、自分の横を通り過ぎた。
(熱っ!!)
竜巻が通り過ぎた後の空気は、まるで真夏の直射日光が生み出す熱気と同等の暑さへ変化していた。
「アブバババ!!」
「ウバブブブ!!」
「ウブガアアアババババババ!!!!!」
濁声交じりの悲鳴が三つ、森に轟く。竜巻は敵の見張り役二人を飲み込みながら、グローバスのガラ空き状態の腹部へ直撃した。
巨体の腹部で砕けた竜巻の飛沫が、更に白い霧を生みながら、まるで雨のように降り注ぐ。
(アツツ!! って、これは熱湯か!?)
皮膚に当たった雫が、焼けるように熱い。竜巻が放っていた空気圧は熱であり、立ち込める白い霧は水蒸気ということなら納得がいく。周囲を白く染め上げるほどの熱なら、煮えたぎった沸騰水かそれ以上ものか。これならば、巨人もタダでは済まないだろう。
しかし、巨人の手の中には……。
「おい! 大丈夫か!?」
白い霧を割るように背後から、抜き身の長物状態になっているバルディッシュを抱えたトールと、赤くなった手を擦っているラディスが駆け込んできた。状況から見て、熱湯はラディスから発せられた魔法であることが伺える。
「俺は大丈夫だが、あれではカキョウが巻き添えにっ!」
そう、見張り役二人に巻き添えに、グローバスに奇襲を行えたのは良いが、奴の手の中にいたカキョウにも、確実に被害が及んでいるはずだ。
「それは分かっている。けど、彼女はホーンドだから、多少なりと耐性はあるはずだ」
この世界に住む全生命体は、生まれたその瞬間から『体内を巡る魔力の属性』が付与される。
魔力の属性は、自然界に漂うマナの属性と同じく『火』『水』『地』『風』『聖』『闇』の六種類に分かれ、魔法やアーツを使用する際の“自然現象を呼び起こすための相性”や“身体に自然現象を受けたときの耐性”に反映される。
カキョウの場合、火の恩寵を受けやすい有角族(ホーンド)であることと、火山国であるコウエンの出身ということもあり、恐らく純粋な『火』に特化した体質であると考えられる。
先の熱湯ならば、一番の火力要素になる『熱』は『火』の要素として、体質上軽減することができるという目算となる。ただし、あくまでも軽減でしかないために、多少なりと被害は発生してしまう。
「ウオオオオオ!! あじがったゾオオオオオオオオ!!!」
霧が薄まり始めた、その時。衝撃波といっても差し支えないほどの圧を伴った轟音が、残りの霧を吹き飛ばした。
目の前には、腹部を真っ赤に腫らし、歪んだ顔をさらに歪ませたグローバスが立っていた。
「嘘だろ……どんな耐久してやがる」
低く唸りを上げるトールから、完全に気絶狙いの急襲だったことが伺える。見張りの二人は、肌を真っ赤にしながら地面に転がり、ピクリとも動かない。見張り共々、気を失ってくれれば万事解決だったものの、グローバスの皮はかなり分厚いようだ。
「おう、てめーら……こいつが目に入っていない、なんてことないよな?」
突き出された握りこぶしの中には、咳き込みつつも頭をかき上げる、ずぶ濡れ姿のカキョウがいた。目立った外傷も無く、皮膚の色も変っていないようで、一応の無事は確認できた。
それでも、彼女が未だに人質状態であることには変わりない。
「こいつとシスター置いて帰れば、命は助けてやるぞ? どうするよ? 言っとくが、足掻いても無駄だからな! おめぇらのようなチビ共が、俺様に勝てるわけねぇっつーの! しかも、俺様の優秀な部下たちも、俺がこっちに呼ばれたってことで、みんなみーーーんな、ここに向かってるぞ~? グワッハッハ!」
その高いところから浴びせられる視線が、全身の毛を逆立たせてくる。頭が内側から押し上げられ、はち切れそうになる。
嫌悪に支配されそうな頭を必死に抑えながら、グローバスの言葉を整理する。
グローバスは、ここに呼ばれてきたと言ったが、見張りの二人にそんなそぶりは無かった。この巨体が小屋に収まるはずがない。となれば、中に別の人物がいて、グローバスを呼びに言ったのか?
(否。それなら、カキョウが捕まる前に、別の何かが起きているはず)
となれば、転移魔法のような特別な仕掛けによって移動してきた可能性が高い。
(仕掛けの発動を合図に、街への攻勢を止めて、大群がこちらに向かってくるということか?)
グローバスの言葉通りなら、自分たちがここに留まる時間が長くなるほど、状況は不利から脱出不能、全滅の可能性へと傾いていく。
「みんなッ! アタシたちの事は気にしないで、応援を呼びに行って!! んでもって、アンタ!! 放しなさいよ!!!」
カキョウの抵抗もむなしく、何度も肘鉄などをして必死にもがくも、グローバスの指はビクともしない。
「粋が良いってのはいいんだけどよ、ちょっとウルせぇっての」
グローバスは少々呆れたように左手で頭をポリポリと掻きながら、右手の中にいるカキョウをじっくりと眺めている。
「な、何ッ!? あ……イッ……!」
何をしているのかと思いきや、カキョウが低い唸り声を上げはじめ、次第に表情が青ざめと苦悶へ変化していく。
グローバスはとうとう、カキョウを握りつぶしにかかった。
「カキョウッ!?」
ダメだ、これ以上の停滞は、時間の浪費でしかない。このままでは、彼女が殺されかねない。
「おーっと、その右手を離しやがれ。そこの金髪犬も武器を離せ。青髪は魔法なんぞ使うんじゃねーぞ! それと『放せ』だの、『止めろ』だの、ありきたりな言葉をいうなよ。わかるだろ? 今、おめーらはそんな立場じゃねぇからな!! ほーれほれ、どうする?」
右手と言われて、初めて気付いた。自分は、あと少しで背中の剣を抜こうとしていた。
しかし、ああ、なんて耳障りなんだ。
生まれてこの方、こんなに耳障りで、胸の奥底を引っ掻き回されるような声も言葉も聴いたことがなかった。カキョウを置いて逃げる? シスターを見捨てる? 冗談ではない。今にも、喉を焼き切らんばかりの感情がこみ上げてこようとしている。
チ、チ、チ、チ。
この感情に呼応するように、時計の歯車に似た小さな音が鳴り響く。
何なんだ。訳が分からない。
訳が分からないという不可解な状態が、更に喉の奥の感情を駆り立てる。
「ふーん……ならよ、人質交換ってのはどうだ?」
突如、空気を割るようにトールの声が入ってくる。いや、息をするのを忘れるほど、喉元の感情とカキョウに意識を注いでいただけであり、トールの声によって現実に引き戻されただけだ。
「ああん? 交換だと?」
グローバスは、不満げな表情を浮かべながら、提案者を観察するように見下げている。この間にも、カキョウを絞める手は緩むことなく、彼女は小さな呻き声を上げている。
「そう。俺の名前は、トーラス・ジェイド。マーセナリーズネスト所属で、ランクはC。この辺だと、最近のご指名率ナンバーワンの色男。お前だって、聞いた事ぐらいあるんじゃないのか? どうだい? そんな俺を倒したってなら、お前さんの名声だって、鰻登りじゃないのか?」
まるで自分を売り込むように、身振り手振りでゆっくりと俺の前へ出て、前線の人員を自然と入れ替えた。
ここからは、トールとグローバスとの舌戦というところか。
「うんで、この娘とシスターと、お前を交換しろと?」
「いんや、俺とシスターだ」
一瞬、耳を疑った。今、目の前で苦しんでいるのはカキョウだぞ? それを差し置くのは、何事かと。
しかし、踏みとどまった。改めて考えてみれば、自分達の任務は何だ? シスターを救出することだ。それが最優先事項である。
付け加えれば、相手はシスターよりもややカキョウにご執心の様子。今でこそ、締め付けてはいるが、カキョウも徐々に慣れ始めている。トールはこれ以上の加害は無いと踏んでいるのか?
しかし、それでも尚、何も出来ないのが歯がゆい。
「ククククク……ンガハハハハ!!! その必要はない!!」
「…………は、い?」
グローバスの熟考に似た沈黙の後、化け物の不穏な高笑いが再び森の木々を揺らし、加えてカキョウの呆気にも似た拍子抜けの声が、“宙”から聞こえてくる。
ポイッ。
絵本で書かれる表現の音が似合うように。
書き損じた手紙をゴミ箱へ捨てるように。
カキョウの体が、放物線を描き、瓦礫の小屋の中へ、消えていく。
「なぜなら、今ここで、お前らを殺せばいいんだからよ!!!」
投げ込まれた小屋の中から、木材の破砕音と共に、カキョウと別の女性らしき者の短い悲鳴が聞こえてきた。
「カキョウ!!!」
彼女が消えた先には、土煙に似た粉微塵の木片が舞う。返事が無い。動く気配もない。
「なーに、あんぐらいじゃ、死にゃーせんだろ。後で、シスターが治してくれるさ」
グローバスは準備運動と言わんばかりに、彼女を投げた手の指を鳴らしながら、一歩、また一歩と森を揺らしながら、こちらへ近づいてくる。
身体が震える。恐怖ではない。はっきりとした、ドス黒い塊。
自分の理解と倫理の外にいる者。
男の下卑た嗤い声が、身体中の全神経を逆撫でる。
こんな初めては、要らない。
父親以外での、自分とは決して相容れない思考の者。
しかし、どこかにいるのだ。そして、いたのだ。
「まぁ、打ち所が悪けりゃ……そんときゃ“剥製”にでもして、愛でてやるがな!!」
カ チ
それは、何かが噛み合った音。
それは、何かが開く音。
それは、何かが外れる音。
同時に、鳴り響いていた歯車の音が消える。
一瞬、視界が血のような赤に染まり、直に元の色に戻った。
戻った時には、自分は背の大剣が化け物の左脇腹を捉えていた。
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